○2010年10月24日(日)17:52
ヒエ
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| 水田にはびこるヒエは稲作農家にとってはありがたくない雑草です。水田用の除草剤はこのヒエを退治するために登場しました。同じイネ科の仲間なのに,発芽して間もないヒエだけを枯らしてしまうのです。除草剤が登場する前は,イネと見分けながら一株ずつ抜いていました。イネは葉の表面がつるんとしています。ところがヒエは毛だらけです。葉の違いだけで見分けることができます。抜いたあと根を比べても違いが分かりますが,作業ではできません。 嫌われもののヒエも,時代が変われば救いの食料にもなった経緯があります。現在でも栽培が継承され,食べられれているヒエがあります。水田で見かけるヒエはイヌビエで,粒も小さいです。岩手地方で栽培されているものは選抜された品種で,やや粒は大きいようです。非常食料だったヒエが,今なお食されています。 臼と杵は古くから伝来していました。手作業ですから,機械仕掛けで搗き上げた米を食べている現在とはかなり違うはずです。消化しやすいように柔らかく加工調理する技術は室町時代,江戸時代諸説あるようです。私たちからは想像できない苦労をして食べていたことは間違いないようです。 ヒエは,籾の部分もはがれにくく,ぬかになる皮も固いということです。搗き上げるのはかなりの手間がかけられたと想像します。アワやキビも同様で選別しただけではおいしく食べられません。完全に熟れていない種子でしたが,これだけを選別するだけでも1時間以上を要しています。簡単にヒエ粥を口にすることができなかった当時の生き様が想像されます。 | | |