○2010年03月21日(日)18:00
専門家集団
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教育のあり方に専門家でない人が口を出しても教育はよくなりません。理由は簡単です。教育は現場の先生だけが責任を持ってやっているのではありません。制度を作る人,保護者が担う家庭教育,地域が担う社会教育など複合的に子どもに関わりながら子どもは育てられているのです。 教育現場に限らず,あらゆるところで働く人々には能力差があります。それらを許容していく社会があるからこそ国が成り立ちます。制度がよくない,先生がよくない,学校がよくない,学力がついていない,よその国とくらべて負けているなどと様々な論評が飛び交いますが,現場から見ればそれがどうしたのだということにしかなりません。すべてを任せられているなら重い責任を自覚して成果を上げるべく努力しなければなりません。制度で縛られ,給与,人事,予算は受け身です。学校現場の裁量権はわずかしかないのが現実なのです。 他国とくらべ低い経費ですみずみまで教育権を保障して一部の学力調査でくらべても遜色ない結果を出している我が国です。それを支えるのは優れた専門家集団がいるからできることです。 医師の場合,制度で縛られることはあっても人事権や待遇の裁量権は自ら持っています。優れた専門家集団として医療に貢献しているわけです。医療のあり方に素人が口を出したことによって,不信感が拡大した事実は多くなったと思います。専門家である医師にとって、以前よりやりにくくなったはずです。 保護者が先生のやり方に口を出したとき,あるいは子どもと先生がうまくいってないとき,先生に不満があるとき、先生と保護者の信頼関係は揺らぎます。保護者にも子どもにも担任を選ぶ裁量権はありません。ですから言ってみるだけに終わってしまいます。担任の先生が子どものすべてを裁量してしまうと勘違いしているだけです。学校にすべてを依存してしまうことも同様でしょう。 大人も子どもも責任という言葉の意味をかみしめてほしいと思うのです。先生が引き受けなければならないことと,別のところに任せることが混在したまま口出しが続いているのが現状です。口を出す人は矛先をしっかり見定めてやらないと混乱だけばらまくことになります。 総合に限らず、子どもが学びにくくなったことを実感します。調べるだけで、学ばない大人が増えたからではと心配します。 | | |