○2010年01月31日(日)16:21
料理の盛りつけとメタボ
|
食育の落とし穴みたいな話題に出会うことができました。中華料理は現在も盛り合わせの大皿からめいめいの小皿に取って食べることは当たり前になっています。オードブル形式やバイキング形式の料理も同様です。 かつてフランス料理の盛りつけは,中華料理と同様大皿への盛りつけだったそうです。食べたいものを各自が好きなだけ取り,手づかみで食べていた時代があるのです。指を洗うフィンガーボールは手づかみで食事をしていたころの名残ではないかと思ってしまいます。 食文化の本をいくつか読み進めていくと,フランス料理には大きな変化があったということです。大皿に盛られた料理を好きなだけ食べていると美食,飽食になり,やがては肥満へと進んでしまいます。何とかすべく今のスタイルになったというのです。フォークやナイフ,スプーンを使うしきたりも料理人の作法が食べる人へ伝えられた結果です。スープは飲むものではなく食べるものだという教えは料理人の考えです。だから,ズルズルとすすってはいけないという約束になるのです。 さて,和食はどうでしょうか。伝統的な作法には大盛りはなく,めいめいの配膳でした。会席料理は膳に配置され,品数が増えると二の膳まで登場します。ところが,庶民的な伝統料理では冬場の鍋料理をはじめとして,皿鉢料理に代表されるように小皿に取り分けて食べることも庶民の間では普通でした。 伝統的な作法に従った和食は,食べることの意味を極めた方法であり,日本独自の優れた食文化だというのが行き着いたところです。伝統的な作法から外れると品数がどんどんふえ,飽食になってしまいます。しかし,もともとは腹八分の言葉どおり,腹に収まる量を配膳するのが和食です。出された料理を粗末に扱わず,完食でよしとします。 10数年前の勤務校でのことでした。国際交流で上海から来た方々が給食を食べたとき,食器には一口の食べ物がそれぞれ残りました。おいしくいただき,お腹いっぱいですという意思表示の方法だというのです。きれいに食べてしまったら,足らなかったのではないかと思われるのを避け,お腹いっぱいで食べ切れませんというサインになっています。 膳と箸を使う日本の食事は健康面でかなり合理的な方法だと納得しました。給食も伝統にあう形をとっていることになります。ただ、牛乳とご飯の取り合わせは,栄養面では優れていても,違和感があるのは私だけでしょうか? | | |