実践事例を見る(31)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 松原市立布忍小学校
所在地 〒580-0023 大阪府松原市南新町1−6−17
URL http://www.e-kokoro.ed.jp/matsubara/nunose/index.html
電話 TEL:072-332−0001 FAX:072-332−0002
学年 3,4,5,6学年
テーマ
人権総合学習”ぬのしょう、タウン・ワークス”−参加・体験型の多様な学び−
カテゴリー 3年福祉・ボランティア活動、4年労働、5年自分史・共生、6年平和・未来へ

 実践事例を見る(28)で登場した学校です。継続と積み重ねができていることは閲覧されるとお分かりいただけると思います。総合的な学習の時間ができる以前から人権学習が実践されています。
 人権学習と総合的な学習は様々な共通点を持ち合わせています。

・あらゆる学問領域のカテゴリーを学習内容として扱うことができます。
・生きていくうえで有用な認識を積み重ね、考え方、学び方を学びます。
・教えることと学ぶことを先生は使い分けます。
・学ぶための基礎となる知的理解などをスキルアップすることで認識は深まります。
・主体者としての自分を育てることをねらいとしています。
・指導のマニュアルはありません。
・同じ学習素材を使っても、同じ展開を試みても、同じ学びにはなりません。
・主体的に学ぶ姿勢が先生にあれば授業実践を積み上げられます。
・先生は意図的な計画を持って指導に当たります。

 こうした共通点とともに、人が人間として生きるには、意識や感性を伝授していく必要があります。その部分を先生が受け持つためには、自分なりの哲学を形作っていくようになると思います。学問としての哲学というよりも、思想に近いものと言った方がいいかもしれません。
 前にも述べたことですが、人権総合学習でなくとも人権についての学びは、あらゆる場面で仕組まれるものです。人権に関わりの深い領域を扱ったから、人権学習を実践したとは言えませんし、人権教材を扱わなかったから、人権学習を実践していないとも言えません。人間同士がかかわる中で差別は起きてきます。その現実から目を背けないで学習素材にして学ぶことが人権学習となります。
 差別発言が指摘されるたびに言い訳される言葉があります。「そんなつもりは毛頭なかった。」作為はなく、うっかりなんだから許してくださいというものです。人間同士の関わりをこのようにとらえることが差別そのものだということに気づいてほしいと思います。

 布忍小の取り組みの中で特に優れている方法は、単なる交流体験、調べ学習でないところです。課題をつかむ、あるいは課題を解決していくための聞き取りであり、フィールドワークであるというものです。交流体験や調べ学習が一過性のものになっている取り組みがしばしば見られます。そんな中で、人間同士の関わりを大切にした方法は、総合的な学習の実践に幅広く活用できるでしょう。