41 幅が3cm、長さ60cmぐらいの紙テープを1回ひねって両端をつなげるとメビウスの輪ができます。紙テープの中央線に沿って、テープを切り離さないように2分していくとどうなるでしょうという投げかけをします。はさみを使って実演します。問題は次の設定になります。2回ひねったものを同じように切り離したらどうなるか。先ほど切り離したものをさらに同様に切り離したらどうなるか。手品のネタ本にもでてくることがありますが、元は数学の位相幾何の問題です。

42 学校の敷地に植え込みがあれば必ずと言っていいほどはえている雑草があります。ヘクソカズラです。花が咲くころに最も臭いにおいを発しますので、そのような名前が付けられたそうです。野鳥が実を食べて植え込みの中で排泄するため、根絶やしすることができません。名前は変でも、実の汁を手足にすりつけるとしもやけに効果のある薬草として昔から知られています。ドクダミ、チドメグサ、ヨモギなどとともに実物を見せて話のタネにすることができます。

43 生活科などで校外に出かけたときは、自然物で遊ぶネタを知っておくと楽しみが増えます。笹や木の葉を使った笛、タンポポやカラスノエンドウのさやを使った笛。笹の葉っぱの端っこを組み合わせた笹舟。オオバコの茎で草相撲。くす玉や杉の実を使った鉄砲は、おなご竹の細いものをたまに合わせて作ります。空気でっぽうの原理です。クローバーの花を集めて首飾りを作ることもできます。オナモミやイノコヅチはバスタオルを標的に的あてをして遊ぶこともできます。

44 朝礼で話をするとき、全校集会で話をするとき、話し手に注目させる物を必ず1つは用意します。キーワードがあれば、全員に見えるように紙に書いておきます。カレンダーやポスターの裏を活用すると無駄がありません。また、話の中にでてくる具体物があれば、一番目を引きそうなものを用意します。竹製の30cm定規を話のタネに使ったときは、目盛りの上の部分にある溝の使い方を説明しました。めざす子ども像の言葉を巻紙に書いて始業式や終業式で取り出しては子どもたちに話しかける校長先生もおられました。これらの方法は日ごろの授業でも活用できることです。教科書とチョークだけで子どもの集中力を引き出そうとするのは手抜きです。

45 3年理科のモンシロチョウは優れた素材です。しかし、身近な他の種類の昆虫にも目を向けたいものです。チョウの仲間としては、柑橘系の葉に集まるアゲハ、パセリに集まるアゲハも素材になります。変態の時期がなかったり、分かりにくかったりしますが、トンボやウスバカゲロウなども素材になります。ミノムシ、カブトムシ、クワガタなども幼虫の期間が長いだけで、興味深い素材ではないかと思います。ショウジョウバエも集めやすい素材です。昆虫の卵、幼虫、(さなぎ)、羽化、成虫というパターンは、1年以内に完結するものばかりです。

46 図工の紙粘土は買うものと相場が決まっているような感があります。新聞紙、トイレットペーパー、牛乳パックなど同質の材料を使って、紙粘土を作ることができます。水につけて繊維をほぐす行程は、紙漉の原料を作るのと同じです。ミキサーを使えばほぐす苦労はグンと減りますが、手作業でほぐすことも不可能ではありません。紙漉と異なるのは、糊の量が違うだけです。洗濯糊でも、防腐剤入りの糊でも、木工ボンドでもかまいません。粘土らしく練り上げて糊の量を加減してください。

47 火おこし体験で紹介したもぐさの作り方です。時期は問いません。よもぎの成長期には、よもぎだけを刈り取ってぱりぱりになるまで乾燥させます。秋から冬にかけては、天然状態でぱりぱりに枯れたよもぎの葉っぱを集めるとよいでしょう。葉の裏についている毛のような部分だけをもみほぐして集めるともぐさができます。手のひらで枯れたよもぎの葉っぱをもみほぐします。しっかり力を入れてください。葉や葉脈の部分は茶色のこなになります。これは捨てます。何度か繰り返すと毛の部分だけがふかふかになって残ります。これがもぐさです。わずかな火種でもくすぶり続けますから、火おこしの時には火種を大きくする材料として優れています。

48 焼き物の好きな先生から粘土はつくれるという話を聞いて粘土づくりに挑戦。有機物が多いのですが、田んぼの土を使いました。網戸の網やざるは目が大きすぎるので、網戸の網を二重三重にするといいでしょう。手元に二重になったぐらいのナイロン製の網があったので60cm四方に切って使いました。土を網の中に入れ、水を八分目ぐらいに張ったバケツの中でゆすったり、もんだりします。しばらくしたら砂より大きい物が残ります。網の中身を入れ替えて、繰り返し作業をします。濁りがなくなるまで放置し、上澄みを捨てます。きめの細かい物を作るなら上の部分だけをすくい取って使います。

49 直接授業に関係しないネタですが、意外と知られていないので書きます。水泳指導のあと耳に水が入ってなかなか出ないという子どもがいます。いろいろ知恵を伝授して、最後には綿棒をつっこむというパターンが多いようです。水抜きは、耳に水を入れ、軽く首を振るだけで簡単に出ます。外耳道のうぶ毛が表面張力を助けるために出にくくなるのです。さらに水を入れると表面張力のバランスがくずれて出やすくなります。放置していても出るというのが通説ですが、外耳道が汚れていると炎症の原因になることもありますし、気分的に気になるものです。子どもに対しては、安心感を与えてから、必ず出るという自信を伝えて実行してください。

50 中学年理科の自然探検では、食料探しというテーマで子どもたちを引きつけることができます。山菜取りといったらいかにも趣味の世界になりますから、食べられるものを探そうということになります。予備知識として、対象物をいくつか紹介します。ただし、地域限定になるでしょう。よもぎ、タンポポ、わらび、たらの芽、スギナの若芽、つくし、はこべ、ふきのとう、イタドリ、山うど、フキ、ノビル、せり、ミツバ、竹の子、ヤブツバキの花、アケビ、山ブドウ、木イチゴ、野イチゴ、ムカゴなどです。キノコ類は専門家をとおさないと大変なことになる場合もあります。また、ハチやチョウになったつもりで、いろいろな春の花の蜜を吸って回ることもできます。