11 歯ブラシスプレーは図工の作品づくりに使えます。お古の毛先がやや硬めの歯ブラシと定規を用意します。水どきした絵の具を歯ブラシにふくませ、定規の角で毛先をはじかせると霧吹きで絵の具をかけたように表せます。絵の具の濃さとはじかせ方はちょっと練習すればできるようになります。デザインや絵画表現のワンポイントに使えます。水しぶきや雨などにはもってこいでしょう。

12 絵の具シャボン玉も楽しい方法です。煎茶の液と洗剤と濃いめの色の絵の具を選んでシャボン玉液を作ります。大小できるようにストローの先を切り開いてシャボン玉を作り、画用紙の上に落とすというより、落ちてきたのをのせるという方法で使います。水中の泡を表現したり、単なるデザイン壁紙に使ったりできます。イメージ通りにいかない、偶然のおもしろさが子どもには受けたようです。

13 図工や生活科の廃材集めとして注目したところがあります。小さな町工場として探し当てるのは簡単にいかないかもしれません。でも、職業別の電話帳や商工会、工務店などを介して可能だと思います。それは、建具屋さんです。障子の桟になり損ねたものや枠の切れ端など手軽に切り刻んで使える廃材が多くありました。家具工場もおもしろいかもしれません。探検した経験はないので、どんな廃材があるか不明です。唯一心配なのは合板が多いだろうと予想します。

14 算数や理科の磁石の学習で役に立ったのが、軸受けに使われれるボールベアリングの球です。パチンコ玉より小さいものまで、サイズはいろいろです。大きなベアリング製造工場が県内にあり、保護者が従業員だったというのが幸いしました。検査に落ちた球を分けていただけました。半抽象的な具体物を使って数の学習をする低学年にはよい材料でした。釘やクリップの代わりに「何個電磁石にくっつくか?」という実験では、形がいびつでないため磁力を数量化して比較するのによい材料でした。

15 「プールの水に藻が発生していない。」現在の勤務校での発見です。藻になる材料が川の水に入っていないのです。藻を育てるリン酸も入っていない川です。5Km下流のダムの水は藻があり、さらに下流の学校のプールの水はもちろん藻だらけです。気温、日射時間、容器の洗浄、採取日などの条件を出来るだけそろえて、水中の藻の発生状態を観察すれば簡単な水質調べが出来そうです。ただし、時間がかかりそうです。そして、下流域は汚染が複合していますから使えません。上流域の源流に関心を持たせる材料として使えそうです。

16 水道管に使われる塩ビパイプは燃やせばダイオキシンの元でやっかいなゴミです。しかし、継ぎ手とパイプを切って接着剤で組み立てれば、け飛ばしてもあまり痛くないパイプハードルが出来ます。障害走の練習では30cm、40cm、50cmの高さのものを作って重宝しました。13mmより20mmのパイプの方がよかったです。T字、L字、直の継ぎ手で設計してください。一方、手作り楽器として笛やトロンボーンをまねたものを作った方もおられます。

17 火おこし体験は時間のゆとりとちょっとしたコツがいりました。軸の木を回転させる道具は糸のこ盤やジグソーがあれば簡単にできます。これよりも大事な道具が火皿です。板の端に30度ぐらいの角度で5〜6mmぐらいのくさび状の切り込みを入れます。切り込みの頂点で軸の木が回転するようにくぼみをつけます。この位置あわせが端になり過ぎると火皿はこわれてしまいます。中にありすぎると木のくずがうまくたまりません。軸木は柔らかめで、火皿は硬めの材質にすることもお忘れなく。たき付けのかんなくず、もぐさ、がまの穂をほぐしたものは必ず必要な材料ではありません。できた火種をいかに大きくするかだけです。

18 算数の関数について学習するときブラックボックスというのを製作しました。カードを上から入れると反転して下から出てくる仕掛けです。表の数字を見せてブラックボックスに入れると裏の数字が見えます。2、3枚カードを入れてから、「ブラックボックスの中身はどうなっていますか?」と問いかけます。ともなって変わる数字の謎解きをしていく学習です。同様の方法でカードに言葉を入れて、途中の過程を考えさせたいときには使える道具になると思います。

19 一枚の写真、一枚の挿し絵を読みとる力を育てることは、感性を磨く元にもなりますし、すぐれた洞察力を培うことにもなります。「聖徳太子といわれている人の肖像画」、「人工衛星ひまわりの雲の写真」など素材は何でもいいというわけにはいきませんが、情報量の多い写真や絵ならば使えます。いずれにしても撮影した人、描いた人の意図が見えてくるものが使いやすいと思いました。学年を問うことなく、低学年のうちから学校全体で取り組んでいくと積み重ねの効果は大きくなります。

20 ブラインドウォークはかなり幅広く実践がされていると思います。ただ、校内を歩くだけでなく、生活に密着した動作をシナリオとして考えたいものです。例えば、歯磨きをする。電話をかける。時刻を知る。お茶を飲む。テレビをつける。などのシナリオから、目の見えない人にとって本当に安心してくらせるかという課題につながると思います。ペアを組んで介助することは介助する側と介助される側の意識がずれることを学習できたら成功だと思います。