総合学習バーチャル実験室  

  ごみのないくらし

 1 「ごみ」を考える視点

   「環境」という言葉は抽象的で、とても範囲が広いと思います。 
   「リサイクル」「リユース」という言葉も、一面的なよさだけが強調されています。
   分かりやすい、現実的な言葉を選んで組み立てていきたいテーマです。
        
   
   1)落とし穴に落ちている事例
     ・ 再生紙の使用は省資源、省エネに貢献しているかどうか疑わしいのです。
     ・ 地球温暖化を訴えながらディーゼル車に乗ることは矛盾しています。
     ・ アルミ缶の回収は熱心に行われるようになりましたが、
       スチール缶のアルミ部分は見捨てられています。
     ・ 商品価値に対して「安い」「均一」「手軽さ」をすりこまれてしまいました。
     ・ ごみを分別すれば終わりと考え、最終的に自分の出したごみが
       どうなったかは知ろうとしていません。

   2)ゴミの種類
     ・ 生物ご゛みは大半は焼却灰に変化しますが、
       土に還元されるものはわずかです。
     ・ 鉱物ご゛みはガラス、陶磁器、コンクリートなどですが、
       ガラスは色ごとに分別すれば原料になります。
     ・ 化石資源ごみは本来は生物ごみですが、
       人為的に分子を並べ替えたため分解は簡単にできません。
     ・ 金属ごみは単一の種類になれば再利用はしやすいが、
       再利用を考えた製品はまだ少ない。

   3)ごみ処理の値段と時間
     ・ 生物ごみは分解が早く、焼却以外の処分方法があります。
       ただし、紙は多様化しすぎて新聞紙のみ低コストで再生されています。
     ・ プラスチックは製造は低コストゆえに、
       再生はコストが高いため再生循環が遅れています。
       分別も大変ですし、分解も大変遅い。
     ・ 金属ごみは、再生利用を考えた生産にならない限りコストは高く、
       現在は一部貴金属の回収だけ稼働しています。
       再生時間は短いでしょう。
     ・ ガラスは一部再生循環が行われています。
       陶磁器は埋め立てごみになるだけです。
       コンクリートは一部建築材に再生循環されています。
     ・ 放射性ごみは、分解が最も長時間にわたり、保管コスト、
       安全コストともに他のごみとは大きく違います。

   4)ごみ処理の負担者
     ・ 第一段階の処分者は消費者になっているものが大半です。
     ・ 第二段階の処分者は自治体と採算の合うものに限って、企業が行っています。
     ・ 製造、生産にともなうごみの処分者は、当事者が行っています。
     ・ 最終処分は、人の住んでいないところに埋め立てられ、
       地域住民、自治体、土地所有企業が負担しています。
     ・ 最終的には、地球が負担していることになります。

   5)不始末の結果
     ・ 水の汚染=有機リン、重金属、細菌、
       トリハロメタンなどの悪影響がこれまでありました。
     ・ 空気の汚染=二酸化炭素、窒素酸化物、フロンガス、メタンガス、
       硫化水素などの有毒ガス。ダストもあります。
     ・ 土の汚染=ダイオキシン、農薬、放射性物質、
       ポリ塩化ビニルなどの履歴があります。
     ・ 生物の汚染=鉛、水銀、殺虫剤等の体内蓄積がおこります。

 2 ゴミをなくすための手がかり

   基本的には「減らす」「循環させる」の2点につきます。
   環境によいもの、地球に優しいというふれこみだけで断片的にではなく、
   総合的にとらえていく力を育てる必要があります。

   1)ゴミの量を減らす工夫
     ・ 燃やさないと処分できないものは、再生できないプラスチックごみだけです。
     ・ 土に返せるものは、コンポスト化して栽培活動に利用します。
     ・ 再生材料になる紙、アルミ、布、特定プラスチックなどは分別します。
     ・ 下水のコンポストを減らすために廃水のろ過をすすめて、自前でコンポスト化します。
     ・ ごみ処理が困難な複合原材料の商品を買わないで、代用品を探していきます。

   2)資源の循環を作る工夫
     ・ 紙を再生する活動をします。
     ・ 醤油、す、酒、ビール、牛乳などについてリターナブルビンの調査をします。
     ・ コピー機メーカーの再利用システムを調査する方法もあります。
     ・ 岡山はアルミ缶再生工場があるため、実地調査が一部可能性はあります。
     ・ 生ゴミがたい肥化するまで見届ける活動も考えられます。
       EM菌、ミミズなどの促進材料も見逃せません。
     ・ 廃プラスチックから植木鉢などを製造しているメーカーも調査対象です。
     ・ 0A紙のシュレッダーダストのみを回収・再生する企業も登場しています。

   3)消費者としての責任を自覚する工夫
     ・ 買いたいものに付随してくるごみまで買っている、買わされている問題。
     ・ 燃やせばなくなると信じてしまい、ごみの最後を見届けない問題。
     ・ ごみを減らすことによる商品へのコスト高を負担する問題。

   4)先人の工夫
     ・ 豆腐は鍋を持っていって買いました
。    ・ 醤油や油などはふたのついた一升瓶で買いました。
     ・ おにぎり弁当は竹の皮、普通の弁当は経木、
       おかずのしきりはハランという植物の葉でした。
     ・ 買い物にはかごを持っていきました。
     ・ 魚やリンゴなどは木の箱に詰めて運んでいました。
     ・ 米はわらの袋(俵)に入れて運んでいました。
     ・ 量り売りが当たり前の世の中でした。

 3 ライフスタイルを変革する実践者がごみ問題をきちんと説明できます

     ・ ある自動車メーカーが封筒をとことん使うという報道がありました。
       でも、自社製品の車にはとことん使う精神は、まだ生かされていません。
     ・ 自治体による分別収集は加速していますが、処理プラントは追いついていません。
     ・ 商品に対する宣伝費、ごみ処理費の度合いを把握して、
       よい商品を選別していく情報集めと判断力が求められます。
     ・ 水を守るのにいいと宣伝されたのに定着しなかった「粉石けん」は、
       消費者が「安い」「便利」に負けてしまったからです。
     ・ 消費生活に対する価値観を変えていく組織的な動きができれば、
       成果は上がります。
       学校での「ごみ」プログラムは期待できます。
     ・ 下水が完備してくるとトイレットペーパーを少量しか使わない
       洗浄機付き便座は投資価値があります。
     ・ ごみを減量していくライフスタイルづくりは子どもから大人まで
       実践できるプログラムが構築できると考えられます。