総合学習バーチャル実験室  

  雑食のくらし

 1 日本人の主食は本当に米でしょうか

   米が主食という考え方はどこから出てきたのでしょう。 
   アメリカ人はパン、ドイツ人はジャガイモ、イタリア人はパスタが主食。
   本人から聞いたわけではないのに一方的な情報でそう思っています。
   「あなたは米を主食にしていますか?」
        
   
   1)米は統制経済の産物
     ・ 効率的かつ扶養力の大きい作物です。
     ・ 白米にしない限り栄養バランスはすぐれています。
     ・ およそ100年で天候の影響を受けにくい品種ができました。
     ・ 白米として食す現在は、雑食しないと危険です。

   2)麦、トウモロコシは輸入政策で崩壊
     ・ うどんは国産小麦でないとうどんではありません。
     ・ 経済戦略の中で麦は生産性を失いました。
     ・ トウモロコシは家畜の食料に多用され、生産性を失いました。
     ・ 白米の栄養を補う食文化はパンにおされてしまいました。

   3)ソバは隠れた食材
     ・ 成長効率は高いものの、生産量の効率は低い作物です。
     ・ 雑食の素材としては、大変すぐれた素質を持っています。
     ・ 食材に加工するまでは、やや手間が多い作物です。
     ・ 暖地では栽培がむずかしいという欠点があります。

   4)サツマイモ、ジャガイモは保存性で後退
     ・ 栽培の容易さは、他の穀類が近寄れません。
     ・ 越冬保存がサツマイモは特に困難です。
     ・ サツマイモは暖地向きです。
     ・ ジャガイモは寒冷地向きです。
     ・ 中間の性質を持つのが里芋です。

   5)キビ、アワ、ヒエは食感で見捨てられる
     ・ 雑穀として栽培は容易です。
     ・ 種を手に入れるのが簡単ではありません。
     ・ モチにしたり、米とまぜたりして食べます。
     ・ だんごやせんべいすることもできます。

   6)豆は脇役で愛される
     ・ 豆については、「大豆」をごらんください。
     ・ 興味をひくのは「落花生」「そらまめ」です。
     ・ 栽培に当たっては連作障害の調査をしてください。
     ・ 煮豆は世界中で愛されている調理法です。

 2 農業体験に適した作物は多様な選択肢から

   5年生社会科に出てくるから「米」の発想を覆す。           
   こんな素材はいかがですか?

   1)古代米「黒米」
     ・ 私が栽培していますので、種は提供できます。
     ・ 背丈が1.5mぐらいになるので、栽培は厳しいです。
     ・ 原種に近いですから、熟した後の脱粒も早いです。
     ・ 黒さが魅力で、本当は紫色です。
     ・ モチにしたり、おこわにしたりして食しています。

   2)70日で収穫できるソバ
     ・ その土地の気候条件にあった栽培時期があります。
     ・ 当地では「秋ソバ」が作りやすいです。
     ・ 8月末種まき、11月初旬収穫です。
     ・ ひき臼がないとどうにもなりませんので悪しからず。
     ・ 収穫時期は幅が狭いことを知っておいてください。
     ・ またのとしこ「ソバの絵本」農文協 が参考になります。
       ソバの種が欲しいという方は下記宛てにどうぞ。
       707-0044美作市海田2552 福田昌弘
      (80円切手を貼った返信用封筒を送ってください。)


   3)畑がなくてもできるサツマイモ
     ・ 肥料や土が入っていたビニル袋でできます。
     ・ 肥料がほとんどいりません。
     ・ サツマイモの調理法は、それこそが学習課題です。

   4)畑がなくてもできるヤマイモ
     ・ 変種が多くあります。
     ・ 「ナガイモ」「イチョウイモ」「ツクネイモ」みんな仲間です。
     ・ サツマイモと同様、ビニル袋で栽培できます。
     ・ 「ムカゴ」というつるについた種芋で育てます。
     ・ 庭先に勝手に生えていますので、「ムカゴ」提供できます。

 3 雑食は健康づくりに貢献する

     ・ 米を主に食べるようになったのは、近世の農業政策の影響が大きいと思います。
     ・ 江戸時代の農民は雑穀を食べることが主でした。
     ・ 大戦に従軍した下級兵士は白米が主でしたから、ビタミン不足となり、
       「かっけ」が多かった事実があります。
     ・ 好きなものを多様に食べていくことが、体を頑丈に作っていきます。
     ・ 機械化されていなかった頃の農民のパワーはすごい。
     ・ 「からだにいいもの」の単品執着をくい止めるためにも、農業体験は有効です。