教育の地方分権

「一括交付金の構想が文部科学省から出ましたね。」

『地方分権改革の一歩になることを期待します。』

「現場の目線で見るとこういうことこそ教育改革になりますね。」

『事業目的が拘束された施策は教育に限らず,費用対効果が乏しいという疑いがあります。』

「そもそも事業評価そのものが第三者評価ではなく,事業を受けた方がお礼評価せざるを得ない状況ですね。」

『やってよかったで終わりです。』

「米の代わりに黒豆を作って売ったら転作奨励金を出しますという事業だって同じですね。」

『普通の大豆を作ったら,輸入大豆と競合するのでだめですとなる。』

「田んぼを荒らさずに作付けするなら,品種にかかわらず奨励するのが当たり前ですね。」

『現場から見て首をかしげたくなる補助事業は山ほどありそうです。』

「そもそも行政の裁量権が優先して,公益のために条件整備をするという任務がおろそかなのがおかしいですね。」

『国のいうとおりにやれ,ならば金を出すという流れが当たり前になってしまったんです。』

「逆らったら相手にされなくなるんですね。」

『まさしく,国民や国をよくしようという基本は置き去りです。』

「名目を作らないと補助事業は成り立たないですから,泥沼ですね。」

『ということで一括交付金という改善策です。』

「それでもまだ不安材料は残りますね。」

『学校現場に届く前に自治体が受け取りますから,国と同じようなことをされたのでは変わらないです。』

「公務員は何のために仕事をするのか基本から組み立ててほしいですね。」

『それを阻むのが前例主義です。』

「ぜひとも白紙から金のつぎこみかたを考えてほしいですね。」

『学校現場が事業主体になれば期待できます。』

「自治体が事業主体になれば二の舞ですね。」

『教育の成果を上げているのはいつの時代も学校現場。』

「農業だって同じです。大小問わず生産農家が成果を上げているから食糧自給は成り立っていますね。」

『優れた政策を打ち出しても現場が動かなければお手上げです。』

「子どものことを考えて学校現場が事業計画を出し,交付金を執行できれば,本気で考えるでしょうね。」

『学校現場のやる気の有無が表面化することになるでしょう。』

「やがては人事や給与も市町村に移すという話が進んでいますね。」

『国や都道府県が統制を取る一番の目的は,全国一律の教育水準を維持するという優れた制度だっただけに権限委譲は容易いことではないでしょう。』

「責任の分散が平穏を保っていたのですから,変えると責任が集中しますよね。」

『少なくとも政治責任と教育現場の責任を明確にしないと声の大きいものだけがまかり通っていくようになります。』

「時間のかかる変化でしょうが,教育の目的だけは揺るがないものにすることが肝心ですね。」

『塾や専門学校もどきを自治体が経営することにならないように願っています。』