イルカとクジラ
「シーシェパードや映画で騒がしくなっていますね。」
『相互理解は困難な論争ですよ。』
「牛を食べている人が,クジラはだめだというのは押しつけですね。」
『牛や豚は食べるものではないと宗教上かたくなに戒律を守っている人々も,他宗教の人が食べることには関与しないですよ。』
「自分たちと相手は考え方が違うと一線を引かないと理解し合うことが見えない争いになりますね。」
『争うより共存ですよ。』
「イルカはかわいいし,優れた能力を持っているから食べるのはかわいそうだと言い張るのも説得力のない話ですね。」
『食べるか食べないかは文化なんですよ。』
「自分が常識と思っていることに合わせて他の文化を攻撃するとまずいですね。」
『動物保護や動物愛護の目的は種の保存ですよ。絶滅させたらそれでおしまい。だから,絶滅危惧種を指定し,地球規模で保護を促しています。』
「人間の作為で生態系が歪むと人間自身も危うくなるおそれがありますね。」
『だから,バランスのとれた生態系を維持するために種の保存は意味があるんですよ。』
「ウサギを愛玩動物として飼っている人は,ウサギを捕まえて食べる人の気持ちは理解しないでしょうね。」
『かつては,日本でもウサギは食べるものでしたよ。』
「時代とともに食文化は変わっていますね。」
『マグロは渦中の魚ですよ。』
「赤身だけ食べていたのに,今は腹身が高級食材になりましたね。」
『ところが資源枯渇の問題にぶつかって規制強化が進んでいますよ。』
「幻のマグロにしてしまう責任は避けないといけませんね。」
『漁具の性能がよくなって根こそぎ獲るとマグロだけでなく,なじみのある種類もとれなくなっていますよ。』
「一つの種類だけでなく生態系が影響しあうでしょうね。イワシもサバも獲れなくなりましたからね。」
『獲りすぎたら枯渇するという原則は,かなり理解されるようになってますよ。』
「海にしろ山にしろどれぐらいいるのか調べ上げるのは難しいでしょうね。」
『数えるわけにはいきませんよ。』
「生態研究とあわせて統計的に予測しているだけなんですね。」
『調査捕鯨にしても,マグロにしてもたぶんの世界ですよ。』
「それだけにいちゃもんをつけやすいんですね。」
『自然増殖しかない動物は調査の信頼性が一番ですよ。』
「獲れなくなってからでは遅いということですね。」
『ズワイガニは最盛期の量に復活するまでまだほど遠いと思いますよ。』
「食べられないと食べるものではないの開きが大きすぎますね。」
『そもそも食べられるは毒気がないことで,おいしいかまずいかは次の選択肢ですよ。』
「何でそんなものを食べるのという話は,イルカやクジラにとどまらないでしょうね。」
『イワツバメの巣,カエル,コウモリ,アカイヌ,アザラシ…知られざる世界の食べ物は多彩だと思いますよ。』
「フナは食べるけど金魚は食べない。マゴイは食べるけどヒゴイは食べない。色が問題ではなく,飼っているから,食べたくない自分がいると思いますね。」
『味噌を海外に持っていくと排泄物のようで拒否されたのと似ていますよ。食べてみておいしければ違和感なく受け入れられるんです。』
「食糧難になれば,食文化も変わるでしょうね。」
『目くじら立てちゃいけません。』
「結局,議論できるのは種の保護が必要か否かですね。」
『感情論ではなく,どれだけ科学的な信頼できる根拠が示せるかにかかっていますよ。』