ハングリー精神

「物が豊かな時代に心を豊かにしていないとハングリー精神なんて死語に近いですね。」

『かつての時代、ないないづくしでしたから、避けて通れた人はごくわずか。』

「デフレの悪循環が始まりつつあるとき、ないのは仕事。正確には収入減ですね。」

『仕事はある。いくらでもある。仕事がなくなったら、経済活動は停止だ。』

「ハングリーな生き方を経験していないから、自分に見合った仕事がないと思いこんでいますね。」

『仕事の中身を選ぶようなときではない。とにかく収入を得る。』

「一つ間違えば犯罪に走る、自ら命を絶つ、住所を失う…。どうして収入を得るためならどんな仕事でもしますってことにならないんでしょうね。」

『世の中が不安定になると学歴に見合った仕事は通用しない。学歴、年令、性別、経験は雇用条件にならない項目。』

「学歴が仕事を保障すると勘違いしてきた期間は半世紀足らずですね。高等教育が用意された思惑はいくつかありますが、何を学びたいのかはっきりしていた出発点が置き去りにされたかな?」

『学歴が目的ではなく学問が目的のはず。今も昔も変わらぬと思うが。』

「幅の広い学びと経験をしているなら、こけたときに再び動き出す選択肢は多いはずですよね。」

『そこが疑問点。専門的知識はよい、しかし、教養が乏しい、責任転嫁しやすい、人間関係が希薄、自尊心が強い…。ハングリーな底力が見あたらない。』

「ハングリー精神がある人は、収入が何とかあるうちに最もコストのかからない生活に切り替えますね。」

『特に食事。自炊する生活力が必要。』

「口にすぐ入るものはすべて人の手がかかり、経費がかかっていることぐらい分かりそうなものですけどね。」

『ご飯を炊く、野菜や肉を買っておかずを作るのが当たり前。』

「収入が少ないのに、不要不急の出費ができるのは生活力がないからですね。」

『家賃が高ければ安いところに移動するのが当たり前。』

「衣食住を維持しなければ収入の道は途絶えることを知っているとハングリーな生活しか選択肢はないでしょうね。」

『住所を失い、自分を証明することすらできず。』

「一見豊かに見える現実でも、どん底に落ちる道筋に阻むものはほとんどありません。救済とか、支援とかあっても這い上がるのは本人次第ですね。雇用保険のない労働環境がまだまだあるのですから、働くことの意味を学んでほしいですね。」

『若年層の自立が遅れとる。』

「親が面倒を見すぎということですね。」

『高学歴をめざした弊害だ。』

「学びたい人がたくさんいるのならば、大学も権威が保てるでしょう。しかし、自立が遅れる分、安住する人も多いのではないかと疑いますね。」

『何十年も生活が維持できる資産家は、ハングリーとは縁がない。そんな人めったにいない。』

「生きる力にハングリー精神が必ずいるとは言い切れませんが、自立するために目的を持つことは避けて通れないでしょうね。」

『目的だけなら夢で終わる。目的と手段は裏表の関係だ。』

「教育といっしょですね。めあてをもたせる。手だてを提供する。早い遅いはあっても、めあてを達成しようと努力し、たどり着けばうれしい。その繰り返しですね。」

『学校だけではない。教育と名のつくところはみな同じ。』

「基本的なことが学習できていないんですね。」

『物に満たされ、時間に追われなくなるといいことにならない。』

「ハングリーはいつでも必要なことだと思います。過去に学べば分かることですね。」

『人のせいにするか、自らの課題とするかが境目だ。』