虐待

「虐待が虐待を生み続けるという事実は昔から言われてきていますね。」

『思い通りに行かないとき、最も手軽な手段になるからですよ。』

「児童虐待をはじめとして、すぐに発覚しないというのも以前から言われていることですね。」

『密室で行われ、口止めも脅迫的になり、覆い隠されていますよ。』

「単なる脅迫なら明るみに出るのに、虐待となると状況がかなり悪化しないと出ないのは、訳がありそうですが。」

『支えのない弱者は、さらなる虐待をおそれて反抗せず、虐待する側を擁護していますよ。』

「周囲の問いかけに対し、自分にまずいところがあるからという言い訳によく現れていますね。」

『痣ができているけどどうしたのと問いかけても、タンスの角にぶつけたのと言えばそれ以上はつっこめませんよ。』

「やけどをしていても、台所でやったと言えばそれまでですね。」

『密室で他者との関わりがなければやりやすい状況は整ってしまいます。』

「関わりがなければ発覚しにくいし、隠しカメラ、隠しマイクも使えない、いい手はないですね。」

『学校や医療機関はつかみやすいと思われていますけど、見当違いですよ。』

「近所だったら声を聞いているだろうと思われるけど、これも見当違いですね。」

『関わらないことが覆い隠すことを知るべしですよ。』

「取り調べの虐待も状況が整っていますからね。」

『通報義務を課しても後を絶たないということだけは確かですよ』

「では、では、どうするのってことになりますが。」

『疑わしきは隠しマイクやカメラというのが手っ取り早い。でも、容易いことではない。』

「取り調べに録画を課すのは、ほかに優れた手段がないからですね。」

『開かれた場所で、他者との関わりが多ければ必要ないことですよ。』

「学校が通報義務を怠ったなんてのは、後から言えるいちゃもんですね。」

『虐待を防ぐと口先で言ってみても、現実は簡単にいきませんよ。』

「1つの策として悪循環を楯に虐待履歴をつくることが考えられます。でも、性犯罪者リストを作るのと似ていますね。」

『情報は集められても、運用をどうするのか、これまた簡単にはいかない。』

「地道な方法しかないんですね。密室にならないよう周囲との関わりを作るのが一番。」

『思うようにいかないことを抱え込むのではなく、話せる相手さえいればかなり回避できますよ。』

「社会的弱者が社会的弱者を連鎖的に生み出しているのは人権問題そのものですね。」

『差別の悪循環を理解しているならば、虐待防止への関わり方も違ってくるはずですよ。』

「他人事ですませば、虐待が虐待を生み、差別が差別を生む構図ですね。」

『差別の悪循環を理解できない人が、虐待防止を言及しても責任転嫁するだけですよ。』

「あんたがちゃんと見ていないからこんなことになるんですとしか言えないでしょうね。」

『そう言うあなたは何をしたのって、責任のなすり合いだけになりますよ。』

「家庭でも学校でも職場でもいじめがあり、虐待があり、差別がある。言葉は違っても似たもの同士ですね。」

『閉塞した空間や人間関係があるとき利害や不満がからめば必ず出ますよ。』

「喧嘩として表面化しているときは話し合う近道があるでしょうが、表面化しなくなるとやっかいなんですね。」

『やっぱり行き着くところは同じ、日は小さいうちなら消せるということですよ。』

「喧嘩や啀み合いをていねいに紐解くことが基本ですね。」

『些細なことを親身に話せる関係を育てていくことで虐待防止になるんですよ。』

「虐待をいじめ、差別に置き換えても通用しますね。」

『悪循環を断ち切る鍵、分かりますか?姑息な手段は必要ないんですよ。』