エコ矛盾

「車で走っていると 、首をかしげる文言が電光掲示板で表示されていますよ。」

『マイカーを自粛しましょう …かな。』

「そうです。」

『公共交通機関を整えることは抜きにして 、何を自粛するんでしょうな。ピントがずれてます。』

「用事のあるときだけにするとか 、遊びに出かけるのは控えめにとか。大きなお世話ですよ。」

『道路整備や高速料金の割引はマイカー自粛にほど遠いな。』

「電車網が整った周辺の国道でマイカー自粛なら素直に入るでしょう。」

『そりゃそうです。歩くのがいいからといって 、一駅ずらして移動する人もいるぐらいです。』

「1時間に1便しかバスがない国道で掲示するようなことではない。」

『運送業だってコスト削減をしようと努力して 、効率的な配送をしていますな。』

「宅配なんか営業拠点で荷物を積み換えず 、駐停車できる空き地で荷物を中継していますね。」

『どういう倹約やキャンペーンがだれにでも納得できるように 、それぞれの立場を尊重して考えないと白々しいですよ。』

「燃料を節約してエコにつなげたいのなら 、ゆっくり加速 、アイドリングストップ 、定速走行が一番。」

『燃費計のある車ならゆっくり加速が一番効果的だと分かっている。』

「効果対費用が見合う人なら買い換えも一つの方法ですが 、補助金が出るから買うというのは 、意味ない。」

『単なるお得感の横取りですよ。』

「家電や自家用車の買い換えに対する補助金だってずれてますからね。」

『目的が違うだけに 、エコをかぶせて誤魔化したんだな。』

「重箱全体を見ようとしないで 、隅の汚ればかり気にしているのと同じですね。」

『持てる人だけの恩恵。富の配分がより多くの人に納得できるなら 、恩恵と安定は維持できますよ。』

「不況がなぜ起きているか 、エコがなぜ矛盾しているか 、似通ったところがありますね。」

『江戸時代の倹約令よりまずい話になっていますな。』

「江戸時代は、だれが 、だれにむかって言っているか分かりやすい時代ですからね。」

『逆らえば首が飛ぶ時代です。』

「一度便利になってしまうと 、なかなか不便を受け入れないですね。」

『リモコン 、自動変速 、移動電話 、自動鍵 、自動ドア …マイカー自粛だけではないんですな。』

「一事が万事 、矛盾だらけの生活に慣れきっておりますね。」

『あったら便利とほんとうに必要不可欠とは違う。ましてや 、みんな同じではない。』

「ドイツでは家電製品のリモコンはないとか。」

『輸出用につけているそうで 、なんと日本向けだけらしい。』

「トイレに入ったら便器の蓋が開くのと同じ発想ですね。」

『世界に誇る優秀な技術があっても 、つじつまの合う優秀な考えが普及しない国です。』

「曖昧や中庸だって優れた考えなのに 、はっきり言わないから損をしてきたと卑下していますからね。」

『話がとびますが、あそびは機械技術の中で重要な働きをしていること 、分かるかな?』

「ずれのおかげで助かっています。」

『ハンドルを切っても 、ブレーキをかけても 、キーボードを操作してもしかりですな。』

「ずれるとよくない場合 、ずれるとよい場合 、両方ありますね。」

『エコはずれちゃいけない。どちらかといえばあそびは禁物。シビアにいかないといかん。』