改革は改善?

「教育改革、行財政改革、機構改革・・・声高に叫ばれ、言葉どおり改め変えられてきたことが
たくさんありますね。」

『でも、よくなったと思いますか?』

「いいえ、改革したら、必ず改善になるという保障はどこにもありませんよね。」

『そうなんです。改革ってのは変えたらよくなるだろうと一部の思いこみでされます。』

「改革したら、改悪になってしまったということもあり得ると・・・。」

『今の状態は、改悪になってしまった部分がかなり目に付くでしょう。』

「どうしてそんなことになるんでしょうね。改革といったら、よくなることを期待するのが当たり前のような気がするんですけどね。」

『長年やってきた制度がくたびれて、よくない状態を打開できなくなると保守勢力の抵抗を乗り越えて改革を進めるわけです。当事者の合意を軸に改革を進めたように見せかけて、効果の薄い部分をばっさりと切り捨ててしまいます。』

「だから、改悪だとか、前の方がよかったとか言われてしまうんですね。」

『それぞれの制度の本質を見失ったら、改革によって混乱や意欲の低下を招いてしまいます。』

「各種の規制緩和は、まさに格差を助長してしまいましたね。」

『そうなんです。改革によって規制がゆるめられると、抜け道も拡がります。場合によっては、悪用もしやすいのです。』

「一連の教育改革も本質を見失っていると思いますね。」

『つきつめれば、政治的に利用されたと考えてもいいでしょう。本質には、子育ての保障が担保されていないといけないのに、後からついていっていますから。』

「学校だけの教育ではないですよ。生まれてから死ぬまで、どんな教育制度の中で、どんな生き方が条件整備されているか。産めよ増やせよのかけ声とともに経済成長が見込まれたから、戦後のベビーブームは成り立ってますよね。経済成長がついていかなかったら、貧困のままで産めよ増やせはできませんよ。」

『日本人が誇りとすべきところをしっかり見据えないと教育改革にはならないと思います。』

「改革しないとよくならない。いかにも堕落していると煽って推し進められたのが教育改革ですね。」

『一番効果が薄いところへ、あるいはすぐに効果が現れないところに目が向けられました。一生懸命に改革に沿ってやるんだけど、やっぱり旧態依然だなと感じるでしょう。』

「言葉に惑わされてはいけないんだ。」

『ふつう、組織の中で改革を進めるといったら、大胆な変更はあり得ることです。でも、変える以上、変えたことによってどんな影響が出てくるかはしっかり考えます。思いつきではできません。』

「そうですね。問題点を整理し、改善計画を立て、試しにやってみる。その結果を見据えながら、改革は進みますよね。」

『ですから、今の状態はとっても不透明なところが多いのです。ほころびを迅速に繕わないと、ほころびはどんどん大きくなってしまいます。』

「それぞれの思惑がバラバラですから、なかなか難航していますね。」

『例えば、ガソリンや軽油の暫定税率の騒ぎはぴったり当てはまります。』

「買う人は廃止でいいと思っているし、既得権で予算化した方は穴埋めに困るからと続けたいでしょうね。」

『現状維持したとしても、不都合はおこらないです。廃止するほうが混乱すると騒いでいますから。』

「端的に改革が改善にも、改悪にもなる瀬戸際にいますね。」

『ですから、改革の波に飲み込まれることなく、変えてもいいこと、変えてはいけないことをはっきりさせるのが一番要だと思います。』

「正常に機能していない腐っている組織は変えてもいいですね。社保庁みたいに。」

『教育に携わる組織に問題があるのではなく、人材と予算の問題のほうが大きいですから、改革すべきは予算の中身です。』

「道路行政なら、順当な整備計画の実行をゆがめる、ぶんどり合戦を変えないといけない。」

『福祉行政なら、不届きものも出ましたが、元を正せば予算の問題ですから、配分を改革すべきです。』

「医療行政なら、問題が人材不足のように思わせながら、実はお金の流れが偏っているんですね。診療報酬の配分は変えないといけない。そうしないと患者の少ない地域は病院が成り立たなくなってますね。」

『こうして、ぶつぶつ気になるところを出していると、いきつくところは為政者や官僚が社会の変化についていってないことになります。』

「改革後の軌道修正が後手後手に回ったらたまりませんね。変えたら変わる、その善し悪しはきっちり評価して、まずいところは責任を持って修正しないと・・・。」

『子どもが減り、集落が消滅し、立派な建物と道路だけが残るようなことをしているときではないです。』