金に目が眩む

「金って、あるところにはあるもんですね。」

『いつの世もお金が偏って集まるのは相変わらずですよ。』

「巨大化した金融資本の大きさもさることながら、借金の額もビッグサイズですからね。」

『法規制の編み目をかいくぐりながら、お金をかき集めたいのは欲望として避けられないのかな。』

「株の売買で儲かるなんて話は、投資ではなくて、投機なんですね。」

『やり方が違うだけで、先物取引と変わらないですよ。』

「値動きに対する期待感は博打と一緒じゃないですか。」

『安く買って高く売る、当たれば一攫千金。元の資金が一瞬にして膨れあがったり、無一文になったりするんだから、おっしゃるとおりです。』

「なんかまともな商いに見えてこないのは、世の中についていっていないんでしょうかね。」

『いやいや、まともな商いのほうが大勢を占めていますよ。一攫千金をねらうのはとっても特殊だと思いますよ。』

「マスコミが騒いでいるだけですか?」

『そうでしょう。投機をする暇がない人は、分け前は少なくても投資信託に預託していますよ。』

「投資や投機する人がみんな儲かるはずがないと!」

『だってね、市場にあるお金は一定なんですから、損した人のお金を得した人がかっさらっていることぐらい冷静に考えたら分かるでしょっ。』

「博打と一緒だ。一人勝ちすると終わりだから、そうならないようにできていますね。」

『でも、人間はお金に目が眩むんですよ。』

「ないよりはたくさんあった方がいい。たくさんあれば、幸せとか、豊かさとかを満喫できると考
えるかどうかですね。」

『世の中金がすべてだ、金があれば何でも買える・・・。目が眩むと幸せとか、豊かさとかが見えなくなるんじゃないの。』

「それでも一攫千金を夢見るんですね。」

『だってね、お金を持ってるから幸せなんじゃなくて、幸せをつかむ手段の一つにすぎないですよ。』

「お金があれば必ず幸せがつかめるかというとそうでもなさそう。」

『ひそかにお金があれば欲しいものが手にはいるじゃないかと思っているでしょう。』

「願望はあるんですね。」

『その願望も自慢できる相手があってこそ満たされるんですよ。』

「コレクターの心境ですか。」

『お金は上手に使わないと本当の豊かさにつながらないと思いますよ。』

「お金をかき集めるためにお金を使うのはゲームといわれても仕方ないか。」

『そんなことはできないから、いざというときのためにしっかりねかせている人がいるでしょうが。』

「います。年金暮らしといいながら、あるところにはしっかり貯め込んでるね。」

『だからねらわれるんですよ。』

「詐欺師にとってはいいカモになるわけだ。」

『無一文ではとても厳しい暮らしになるし、ありすぎて使うすべのない金も厄介者ですしほどほどがいいんじゃないの。』

「金に目が眩んだらいい話にはならないようですね。」

『狙わず、狙われずがいい。』