ニートとおやじ

「以前ワークシェアリングを話題にしましたが、今はニートが社会問題になってますよね。」

『Not in Employment, Education or Training(職に就いていず、学校機関に所属もしていず、そして就労に向けた具体的な動きをしていない)という若者のことですな。』

「対策の一つとしてキャリア教育というてこ入れも始まりましたが、ニートになってしまう原因は複雑でしょうね。」

『一番気になるのはやっぱり自立が遅れているんですな。』

「高学歴の神話を引きずって、本当に学問を修める意味は吹っ飛んでいると・・・。」

『3年間もしくは4年間、月々いくらお金を払って高校や大学に通うのか深刻に考えさせとりませんからな。』

「確かに、ほとんどの高校生、大学生は、親が出すのが当たり前になっているでしょうね。高校、大学に行かずに働いたとしたら、いくら稼げるかなんて考えなくてもいいわけだ。」

『生活を自分で組み立てる必要がないですからな。上げ膳、据え膳、小遣いつきで小学生の延長みたいだと言ったら言い過ぎでしょうかな。』

「と言われると、自分もドキッとするものがありますね。でも、金銭に余裕がない親の姿は見えていましたよ。」

『働いてもかまわない年齢になったら、それ以上の期間学校に通うことは、子に対する投資だと、親子共々考えれば自立も促せるでしょうな。』

「そんなふうにでもしないと、子どもは今自分がしていることに責任を感じないでしょうね。」

『自立してない人は、やたら人のせいにしたがるんですな。』

「うまくいかないのは俺が悪いんではないと・・・。親のせいにされるともはや最悪の事態ですね。」

『普通に考えれば、勉強するのはおまえなんだ、お金は投資してやるから、最終的にメシを食う種は自分で何とかしろよ・・・ってことになりますな。』

「子離れしていない親が多いってことにもなりますね。」

『次に気になるのは、稼ぐための仕事に対する価値観がずれていますな。』

「職業に貴賤はないと言いつつ、働く人の誇りはどこに行ったんでしょうね。」

『家庭の中で働き手としての父親、父親でなくてもいいのだが、主たる働き手に対するねぎらいは少なくなっていると思いますな。』

「勉強しないとお父さんみたいになるよ、なんてのは最低の会話ですね。」

『日本中でそんな会話が幅をきかせると、父親の威厳も仕事への誇りも消え失せてしまいますからな。』

「働き手を低く評価し、アルバイトを禁止し、家計を補うパートタイム労働に振り回されている環境で、働くことの大切さは伝わらないでしょうね。」

『挙げ句の果ては、リストラ増加、ニート増加、キャリア教育開始、職場体験必須・・・こんな対策でいいのかな?』

「16歳で一人前と見せかけながら、20歳を過ぎても一人前でいたがらない甘さを断ち切れる近道はありますかね。」

『子どもを鍛えるしかないでしょうな。』

「高校を途中やめするぐらいなら、弟子入りしてでも自力で生活し、鍛えるのがいい。資格が必要と思えばそこから勉強し始めても遅くはないと思いますね。」

『大学出てから専門学校に行くなんて、なんか順番が違うというか、すごく回り道していると思うんですな。』

「人と違うことをするのが簡単にいかないんですね。みんなそうしているから・・・に巻き込まれています。」

『さらにもう一つ気になるのは、社会全体に明るい展望、簡単に言ったら夢が少なすぎるかな。』

「自信と誇りと夢がつかみにくいのは、経済の停滞と無縁ではないでしょうが、こいうときこそ底力がいるんですね。」

『自分にとっての豊かな生き様を見据えないと夢は描けないでしょうな。おやじが手本を見せられるかどうかにかかっているようだな。』

「人のせいにすることなく、俺はバリバリやってるぞと言えるおやじが増えれば、子どもも元気が出るはず。」

『わが子に胸張って言えるおやじなら、世の中に対して文句を言うことにも真実味が出ますよ。』