大人になれない大人
「餓鬼みたいな大人がいるってことですか?」
『そいうこと。しかも、多いですよ。』
「でも、考えていることが幼稚な大人は以前からいますが?」
『幼稚だけではなくて、未熟さが複合していると言った方がいいでしょう。価値観のレベルが低いです。』
「今風のジコチュウなんてのは、お仲間でしょうか?」
『そりゃもう、最たるもの。自分のことしか考えてなくて、社会の一員ということが分かっていないですよ。自分で責任とらずに人のせいにしちゃう。個人主義を勉強した方がいいと思うね。』
「なるほど。自己責任なんて言葉も変ですか?」
『おかしいですよ。社会的に一人前の大人として暮らしていたら責任をとらなくては、信用にかかわります。』
「そりゃそうだ。でも、マナーがよくないとか、徳の道が怪しいとかいうのは別ものですか?」
『大いに関係あるでしょう。道理をわきまえることができないから、子どもたちはマナーや道徳を学ぶのが日本のやり方。学校は一部分だけになっているけど、まずいとこをみな学校に押しつけてますよね。』
「家庭も社会も教える機会が少なくなったかな。分かっていてもやらない大人がいますから。まさかとは思いますが、悪の道にはまり込むのは余り関係ないでしょうか?」
『楽したいとか、金が欲しいとか、むしゃくしゃするとか、性欲を満たしたいとか、・・・自分の生き様を振り返らずに他人を餌食にするんですから、これまた随分幼稚ですよね。人を騙してでもお金を手に入れたい人間は一見ずる賢そうですが、成熟した大人がやることじゃないですよね。』
「大人になれない大人がこうも増えると住みにくいです。バブルがはじけて世の中がすさんでくると不安になります。」
『どうすりゃいいか。道徳を一生懸命教えたってよくなるとは思えないな。警察官増やして治安維持に努めるのも対症療法だし。大人を大人にすればいいだけのことなんですよね。』
「大人を大人にするって?もう一回勉強し直すってこと?」
『それができりゃ、随分変わるんでしょうが、そうもいかない。幼稚な考え、未熟な考えが世の中で通用しなくすればいいこと。やっぱり価値観をひっくり返していくしかないかな。』
「価値観の転倒?」
『そう。豊かさを図る定規が狂っている。あなたにとって豊かさって何ですか?あなたにとって幸せって何ですか?大人も子どももじっくり答え探しをしたいですね。』