自転車
「通学では6年間、毎日およそ15kmを走りました。さすがに気温より、雨の日が一番辛いですね。いまだにちょこっと出かけるときには重宝していますよ。」
『いいことだらけの自転車なんだけどな。どうして日本では行儀よく定着しないんでしょうね。』
「便利さと集客力ばかりを考えて、自転車のための余白がないからですよ。」
『止めるとこがない!隅に追いやられている!』
「環境への負荷はかなり小さいし、経済的なのにどうして使わないんでしょうね。」
『税金がかからない!買い換え年数のサイクルが長い!燃料代不要!車検不要!免許不要!』
「車中毒の人から見るとケチはかなりつくんでしょうね。」
『時間がかかる!荷物が少ししか積めない!クーラーもヒーターもない!坂道はしんどい!雨や雪の日は最悪!自動車と同居で危ない!』
「ゆっくりでいいじゃない。何回もいけばいいじゃない。我慢すれば澄むじゃない。健康のためには適度の負荷でいいじゃない。合羽着て我慢できるじゃない。堂々と走ろうじゃない。」
『そもそも道路づくりの発想は、経済効果優先でまずいです。車道と平行して専用道があれば一番いい。だって、車道より狭くて、舗装も薄くてすむんだから、安上がりですよ。』
「車道の端に歩道と併用みたいに作るのは考えが貧しいです。歩いていても、あのアップダウンは不愉快だと思いませんか?」
『そもそも、道路整備を目的にした税源だから、遠慮があるんじゃないの。』
「だから、経済効果だけを評価しないで、環境負荷を評価して道路整備をするのが一番いいと思うんだけどな。」
『それなら、歩道が一番、次に自転車道、最後に車道の順番だね。財源からすると反対の順番だもんね。』
「でもね、行儀のよくない自転車族に名案はないの?迷惑駐輪、放置自転車はどうする?」
『車なみに登録プレートを付けて責任の所在をはっきりすればいいじゃない。防犯登録だけでは貧弱ですね。』
「つまり、自転車の戸籍を作って、持ち主が最後まで面倒を見ざるを得ないようにするわけか!」
『走りでは、競輪をしている人が行儀いいですね。一般道を走って練習しているときなんて運転技術だけでなく、スマートですよ。』
「うん十万円の自転車も、うん千円の自転車も、乗る人次第ですからね。」
『要は、自転車を使いこなせる余白を考えてほしいよ。』
「時間にゆとりがあるといいね。止めるところにゆとりがあるといいね。走る道にゆとりがあるといいね。乗る人の気持ちにゆとりがあるといいね。乗りこなせるゆとりがあるといいね。」
『こうなると西欧の自転車族を見習うだけの価値はありそうですよ。』