名前

「日本語では姓名、氏名が伝統的な表記の仕方ですよね。」

『中国、韓国も同じです。そりゃ当たり前といえば当たり前。漢字の起源がばらまいてきた軌跡ですからね。』

「変です。オリンピックの選手名、見ましたか。ローマ字表記で逆になってるでしょうが。」

『その昔、中学校の英語の時間を覚えておられるかな。英語を使う国では、名が先で、姓は次になっていますから、ローマ字表記で名前を書くときは名姓にするんですよと教えられませんでしたか。』

「いかにも。いつ頃からそんなことしだしたんでしょうね。」

『敗戦後の占領下でそうなったわけではないみたいです。どうも明治の文明開化のころから、相手に合わせた使い方が習慣化したようです。浮かれついで、氏名の順番に誇りやこだわりを忘れたみたいです。』

「西洋文明にあこがれ、アメリカ流にあこがれ、自分の名前に重みを感じなかったんだなぁ。」

『だってね、江戸幕府の400年間、大多数の庶民は苗字を名乗らず、名だけで過ごしてきたんですからね。』

「外から入ってきた文化をカタカナで巧みに取り込んだ器用な日本人は、名前の書き順も相手に合わせて器用に使ってきた訳か。」

『そうですね。この際、中国のように誇りとすべき最低線は捨てないようにしないと独自の文化は揺らぎそうです。でもね、中国だって漢字の簡略化は日本の表記を大いに参考にしたそうですから。』

「ということで、私は世界中どこに行っても福田昌弘。FukudaMasahiro。これでいこう。」

『パスポートもサインも問題ないんじゃないの。』

「まあ、日本にいる限りではローマ字表記の名前を書くことはないか。」

『せいぜい英語圏の外国人に自己紹介するときぐらいでしょうね。』

「そりゃそうだ。名刺を作るときにきっちり入れてみるか。」

『氏名を入れ替えて、実害にどこで出くわすか分からないけど、自分の名前にも誇りを持ちたいですね。』

「それだけに、国際舞台で活躍する皆さんは是非実行して欲しいです。」

『スポーツ選手、芸能人、政治家・・・。挑戦する人が増えるか期待しましょうや。』