続少子化

「相変わらず少子化の話題が巷で続いていますので、続きの話をさせてください。なぜ少子化になるのか、理由はいろいろ考えられますが、家族の視点に絞り込みたいですね。」

『子育ては家族のあり方が最も近いところですから、世論とか、経済戦略とか、政治的思惑というのは二の次でいいと思います。要は家族が途切れ、子どもを育てる数が減った理由を考えれば、世間の思惑と家族の思惑がいかに懸け離れているかはっきりしますよ。』

「まず、家族が途切れる問題。家族を構成している娘や息子が、なんで次の家族を構成しないのでしょうか。」

『危機感も、必要感も見いだせないんだと思いますよ。家族を構成しなくっても、困ることはないと受け止めているような気がしてならないんです。』

「妥協するのがいや?我慢するのがいや?望みの相手が現れない?家族を作る理由が見付からない?とか何とかいっちゃって、困ってないんだ。そして、家族の理想だけは高く掲げてね。」

『一昔前なら、所帯を持つことで一人前といわれてきました。独り者は世の中で冷ややかに見られ、信用がおけないという見方があったわけです。一家の主がいることに威厳を持たせていましたね。まさに儒教の世界。』

「それが今はどうですか。家族よりも個人だけを尊重するものだから、おかしくなった。家父長制を問題視するのはいいとしても、家族の存在をないがしろにしたら途切れるんですよね。」

『捨てちゃいけないものを捨てつつあるようです。必要感という点では何がおかしくなったのかなぁ。』

「農耕民族の労働形態が変わったのが大きいでしょう。人手がいらない。農作業のほとんどが多くの人を必要とせず、一人で1ヘクタール経営することも可能なんですから。」

『農業に限らず、家族の中で世襲していくことは、全体から見れば少ないでしょうね。ということは、あとを継ぐしがらみも薄れてしまって、騒がれるのは政界か、芸能界か、医療界ぐらい?』

「家族を途切れさせまいと思うならば、まず世襲もまんざら悪くはない。労働力としての家族の復活は農業の再編しかないな。」

『一人減る家族もやむなし、変動なしの家族もよし。遺伝子の宇宙船を製造する夢を分かって欲しいです。』

「読んでいる方、分かります?一人っ子の3人暮らし。子ども2人の4人家族。子孫を作る夢。労働力として当てにできる家族をみんなめざせば、見通しは明るいと思いますね。」

『もう一つの、子どもを育てる数が減ったことはどう考えます。』

「たくさん生む必然性が、今は何もないということですね。」

『戦後のベビーブームは家族も、世間も子どもを必要とした。働き手がなくて困ってたわけですから、産めよ増やせよというかけ声は真実味があるなぁ。』

「今はどうですか。年金が破綻するから、産めよ増やせよなんていったって誰も取り合いませんよ。はたまた、労働条件と保育をしっかり支援するから、産めよ増やせといっても、家族にとっては何の有り難みもないでしょうが。」

『ですね。自然の成り行き、出生率は上がらないし、上げる必要も見いだすことができない。』

「ということで、はっきりしているのは、少子になったことが問題なんではなさそうです。」

『そう。少子の現実に世の中や、家族の仕組みが変わんなくちゃ。家族が途切れちゃいけないし、うまくいかない原因を少子のせいにしちゃいけませんよ。』