子ども受難

「虐待、連れ去り、学校での侵入傷害事件、不登校、家庭内暴力、深夜徘徊・・・。最近の報道ネタは虐待に集中していますが、未解決の連れ去りも数多くありますよね。」

『いつの時代も社会的弱者は被害者になる確率が高いです。子ども、高齢者、女性、障害を持たされている人、外国人など人権侵害の標的にもなりやすいわけです。女児はダブル弱者です。』

「子どもが標的になるのは、今に始まったことではないのですが、不可解なのはどうして誘拐ではなく、連れ去りなのかということなんですね。どうして学校に入って子どもを傷つけることになるのかというのも謎なんです。」

『自分が満たされないことを子ども相手に実行すれば意のままになるだろうという考えが根っこにありそうです。』

「子どもを連れ去って思い通りにできる。親の思い通りにならないから暴力で腹いせをする。自分の身は傷つけられることなく思い通りに手を下せる。突き詰めたら、あまりにも自己中心的な考えじゃありませんか。」

『お金に困って営利誘拐を実行するとか、子どもが邪魔になって虐待をするとかいうのは反社会的な行動と言えますが、思い通りにしたいとか、思い通りにならないとかいうのは個人的な考えが短絡していると思います。』

「子どもができないから連れ去ったり、いたずらしたくて連れ去ったり、子育てを放棄して監禁したりするのは、自己中心的を一歩進めて非常に利己主義におちいっていると思いますね。」

『人間同士の社会関係が希薄な中で起こる事件ですから、立ち入ったり、防いだりするのが難しい。』

「だって、利己的な人間ってのはいやなやつ、勝手なやつ、ずるいやつという見方で、関わりを持ちたくないばかりか、疎外しやすい相手ですよね。」

『確かに、個人的なゆがみが社会的に疎外していくことは大いにあり得ることです。』

「だから、思い通りにするために実力行使をしていくのでしょうね。」

『ムラ意識もコミュニティ意識も形成されていない人が利己主義に走っていくのは当たり前といえば当たり前なんです。』

「個人の責任と奉仕の考えがなければ正常な社会関係が営めないのは分かります。だからといって、お上がボランティアを押しつけたところで何の解決策にもならないですよ。」

『疎外がおきないように、利己主義がまかり通らないように、自己中心的な考えが非難されるように共同体意識を維持できなくなっていることが大きいでしょう。』

「そのへんのひずみを修正しない限り、子どもの受難は続くのかと思うと世論に期待するところが大きいですよ。」

『変なやつはとっ捕まえて、死刑にしてしまえばいいんだと荒っぽいことをいう御仁もいますから、見誤ると怖いです。』

「子どもは家族の宝、地域の宝、はたまた国の宝。大事にしなくっちゃ。」

『疎外するのではなく、関わることです。キリスト教的にいえば隣人を愛せよということになりますかな。』