カタカナ語

「なじみのないカタカナ語が増えて、翻訳語の試案が物議を醸し出していますね。」

『平和ボケのお遊びみたいで、なんかおもしろそうな造語が並んでますよ。』

「洗練された訳語を作り出そうという努力よりも、意味を伝えたいだけが目的のようで、何でそんな尻ぬぐいに加担するのか不思議です。」

『新出しているカタカナ語の不透明さ、かっこよさは、知らないでしょうがというわがままな自己満足に付き合わされているだけですよ。だって、説得するつもりなら、相手に理解できるという前提で言葉を選びますよ。』

「知ったかぶりの高慢知己か、権威を振りかざしたい人がかっこつけて使いたいんだ。なんてことない。」

『1945年以前の外来語に対する価値観と占領下以後のアメリカ語に対する価値観は全然違うものなんですよね。』

「そうですね。本来、国内にないものに対して適切な造語がなければ、外来語をカタカナ語で駆使してきたはずです。音を表すカタカナ語はとても合理的な文字なんですね。擬音語がなぜカタカナ表記されるかは、約束みたいなものですね。」

『一つ間違えれば、無節操にカタカナ語を取り入れて、市民権を得ようとして、反乱を許すわけです。』

「伝統を重んじなくなると、相手の国の言葉の伝統をも尊重せず、カタカナ語で日本独自の造語が生まれたのですから、まさに無節操を通していますよね。」

『まあ、和製英語の類は、日本人の器用さでいいと思うのですが、元々日本語にある言葉をアメリカ語で言い直すのはやめた方がいいと思いますよ。』

「リハビリテーションなんて一見、聞き慣れているようでちゃんと日本語で言えますよね。」

『機能回復訓練でいいんです。』

「分かる言葉を分からなくするのは、一つの差別化を生み出すことは確かですね。分かる人に分からせない。問いただせば、そんなつもりはありませんと言い訳するのが落ちです。」

『コンピュータの世界はとびきり日本語に馴染まないまま進化しました。用語の意味が分からないと操作できないから、コンピュータは難しいという先入観が作られやすいでしょう。』

「コンピュータを動かす命令語が英語であるが故に避けられないことなんですね。例え翻訳したとしても、命令は英語で入れるしかない。英語と日本語が混在しているから、英語になじみがない人にとっては苦しいわけだ。」

『無節操にカタカナ語が氾濫してきたのは、パーソナルコンピュータの普及とどうも絡んでしまいそうですね。』