夢プラン

「学校教育と社会教育の連携が叫ばれて久しいですが、実感がないのはどうしてでしょうね。」

『学校開放とか、生涯学習とか、事業プログラムだけが先行しているからでしょう。』

「学校を地域に開放しようと試みたり、立派な生涯学習センターが建ったりしてはいるんですけど、なんかバラバラで動いているんですよ。」

『かけ声だけが融合で、事業は融合していないわけだ。そもそも町づくりの構想が自治体の振興計画で脱皮できてないと思うが、言い過ぎでしょうか?』

「既存の施設を改築したり、新規に施設を建てたりするとき、箱ものがぽつんと出現していることが多いのは確かです。」

『町づくりと人の動線を考えて施設の共有化を進めないと無駄も大きいし、利用もしにくいままで、建物だけが新しくなったと言われてしまいます。』

「学校図書館と公立図書館、体育館、プール、調理室と家庭科室、パソコン教室、工作室と図工室、運動公園と運動場、公立診療所と保健室、陶芸教室と図工・美術の設備・・・。共通部分はかなりありますね。」

『それぞれを開放しても接点はないですから、別々の動線を融合させることには無理があるんです。』

「新規にカルチャーゾーンみたいな町づくりをすればいいんでしょうが、今度は土地と財政に無理がありそうですね。」

『そこで考えつくのが、併設していく長期計画です。建て替え時期が来た施設をその場に再び建てたり、更地にぽつんと立てたりしない方法です。』

「中学校のそばに総合運動公園を配置する。小学校のそばに公民館と保育所、幼稚園を配置する。小中学校に隣接して図書館を建てる。老人福祉施設と保育所、幼稚園を隣接させる。案はいっぱい出てきそうですね。」

『歩いて1分以内のところに隣り合わせている例はすでにありますが、隣接、併設という発想がいります。同一敷地内にあることが条件で、動線が集中するはずです。』

「公共交通機関がない地域では、スクールバス、福祉バス、デイサービス、自治体運行のバスなどが入り乱れているのが現実です。経費節減で共用している場合もありますが、動線を重ねるところまではいってないでしょう。」

『やりにくさの原因は、省庁のなわばり補助金施策が大きいでしょう。複合施設を認める窓口を作るか、国庫補助を廃止して別枠の交付に変えるしかないでしょう。』

「町づくりで問題になるもう一つの視点として、一箇所に集中するのがいいか、分散するのがいいのかという論議がありますよね。」

『人が集中したところに何もかもというのがこれまでのやり方です。動線が集中することで過密、渋滞は人為的に作ったわけです。住宅地域を中心にドーナッツ状に商工業地域、文教地域、農業地域などがあれば理想的な動線ができあがります。放射状に近い分散を意図して開発計画を見直し、自然環境との融合を図るというのはいかがでしょう。』

「収益のない施設ほど町づくりの長期計画が必要なわけですね。」

『世の中の変化に対応することなく、老朽化した学校を元通りに立て直すというのが、一番無策でしょう。』