土産

「みやげ・・・何とも響きのいい言葉ですが、土産らしい土産が目立たなくなったと思いませんか。」

『旅行が一大事でなくなり、物流が盛んな世の中になりましたから、珍しいものをという驚きがないです。でもね、伝統的な土産物はすたれてないと思うんですがどうですか?』

「その土地の特性を盛り込んだ土産物はやっぱりありますねぇ。陳列の幅を利かせているのは、名前が入っているだけの全国共通商品ですよ。」

『裏を返せば、義理チョコじゃないけど、義理土産に順応させられたというべきかな。』

「とっておきのものはきちんと伝統的に供給されてますから、やっぱり買う人の問題でしょうか?」

『ほら、○○にいってきました!って菓子箱があるでしょうが。売り出す方も、買う人もなんかおかしいです。こういうものは最初だけ飛びついて、やがて売れ行きダウン。』

「ギャグか・・・と一瞥されるほど冷めてないから出る幕もあるんですね。」

『ひよこ、タルト、紅葉饅頭、あわおこし、赤福、八つ橋、ういろう、草加せんべい・・・これで地名が分かればいいんじゃないの。』

「お菓子に限らないですが、昆布、ワカメ、沖漬け、くさや、ホタルイカ、ママカリ、明太子、カラシレンコン、かつお節・・・でも土地柄が浮かんできますね。」

『大阪で赤福が買える???売らんかなで全国の土産、特産物を人の流れが多いところに集めたりするからおかしくなることもあるでしょうね。』

「その点、がんこな老舗の商品は流出しないですねぇ。」

『暖簾で守られるか、賢い消費者が守るか・・・。いいものは残り、あかんのは淘汰されます。』

「おいしいものを極めてきたからこそ続いているんでしょうから、2匹目のウナギをねらうには発想が軽すぎるかな。」

『それとね、長持ちするってのが怖いです。賞味期限が元から長いのはいいけど、1ヶ月立っても変化しない饅頭はへっちゃらですか?』

「そのときはなんともないようで、何年も食べていると不安ですね。防腐剤、酸化防止剤がもたらした見えないメリット、デメリットの影響は大きいでしょう。」

『なんだかんだ言っても、渡す相手があってこそ楽しみのある土産ですよ。自分のも含めて選ぶ楽しみもあるでしょう。』

「そうですね。楽しみのお裾分けが一番ですから、饅頭の嫌いな人に饅頭を提げて行くようなことはしないです。」

『金を出して買ったものだけが土産にあらず。自分が生産した物も気の利いた土産だと思いますね。』