安全

「安全に投資するといえば、保険ぐらいしか考えていませんが、見えてない部分があるんでしょうか。」

『何かあったときに困らないようにするのが保険で、不安材料をなくすものではないですよね。安全に投資するということは、安全確保のために使われるお金です。』

「車でいえば、シートベルトとかエアーバッグとか。家でいえば燃えにくいカーテンとか絨毯とか。そんな類のことでしょうか。」

『そうです。未然に防ぐものはすべてですから、探せば結構見つかると思いますよ。』

「製造物責任を保証するPL法も安全への投資を促すものですよね。」

『責任逃れのための訴訟対策的な実体ばかり目立つでしょうが、アメリカのこんな話が参考になります。子どもがペットの猫をシャンプーした後、毛を乾かそうとして、電子レンジに入れることを思いついたんです。実行後どうなったかはおわかりでしょうか?毛を乾かすことはできず、猫は全身を加熱されておだぶつでした。親はとんでもないことをした子どもを責めるより、電子レンジの取扱説明書に乾燥機代わりには使えないことを明記してないということで製造物責任を問い、訴訟して認められたそうです。』

「信号機や交通標識、道路の形状が事故を誘発していることが判明して、改善されたというケースは聞いたことがありますね。でも、改善前の事故が訴訟になったという話は聞きません。」

『過失なのか、安全確保が不十分なのか立証しなければならないですから、難しいところです。』

「口にするものの安全性が巷では騒がれていますが、これは製造者が責任を持つしか手がありませんよ。」

『利益追求型の商品は個人が警戒するしかないです。商品知識を手に入れることが安全への投資になります。だって、もうけるために安全性を無視しているのですから、だまされたらおしまいです。』

「ネズミ撃退、やせ薬、痛みの取れる薬、魔法の洗剤、疲労回復のドリンク剤、資格取得、英会話教材・・・。メリット強調、リスクなしというのが一番きな臭いわけだ。」

『利益率が50%を越すような商品は要注意です。製造者や販売者が安全に投資しないから、消費者が安全確保しないといけない。法律が規制していると思いこんだらおしまいかな。』

「利益率50%以上の商品なんて、もうけは内緒にしているのですから、見抜くのは大変ですよ。」

『利益が企業秘密なら、疑いを持ち、相手にしない。それが一番安全ではないですか。情報公開によって納得できる信用を企業がつかむことは必要だと思いますよ。』

「最終的に安全に投資すれば社会資本の損失が少なくなるから、お互いに利益になるんですね。」

『そうなんです。安全が確保されなかったことによる損害と安全に投資した差額が安全に対する利益と考えることはなかなか柔軟な頭がいります。』