休み

「休みがふえたら、学力が落ちるとか、よからぬことをする子どもがふえるとか、にぎやかになってますね。」

『長い休みが年間に60数日、日曜日が52日、祝日が15日重なることもあるから、およそ年間に120日ぐらい休みがもともとあったんだから。それが、26日ふやしてきたところをついに52日にしただけなのになぁ。』

「労働時間だって同じことだと思うんだけどね。週44時間働いていたところを40時間にしたら、労働の質が落ちたり、仕事量がふえたりするものなんですかね。」

『逆に考えたら分かりやすいんじゃないかな。休みなしで、毎日6時間、週42時間勉強したら、遊ぶ閑もなく、学力の高い子どもたちが育つのかねぇ。だれも信じないと思うけどね。』

「そりゃそうです。労働時間が週56時間になって休みなしで働いたら、生産性が上がるとは思えませんよ。」

『戦時中じゃあるまいし、月月火水木金金なんてのは、ばかげているでしょう。』

「日曜日を安息日にしたのはキリスト教の考え方ですよね。宗教と暦の世界にはまったらややこしいけど、何らかの形で自分たちの考えは、宗教に起源を持つものがありそうですね。」

『話はそれるけど、みなさんそうしてますよと言われて、それじゃ私もそうしておきます。なんてのは儒教の考えだそうです。』

「休みがふえたから問題が起こる。だから、受け皿の手だてを作ろう。・・・かなり無理のある三段論法ですわ。」

『大人も、子どもも自分のライフスタイルを自分の意志で創り上げていけばいいことだと思うけど、かなりお節介をしていこうとしています。』

「さきに器を作ってお膳立てして、やりたい人はよっといでというやり方はまずいですよ。」

『でしょ。なのに主体的に生きる力をつけましょうというんだから、つじつまがあいません。』

「休みの日に何をするかは、一人の人間として自分の裁量権で自由にできるからこそ休みなんですよね。」

『暇つぶしの仕方が分からない人が、何かやってくれと要求するのは、主体性がないし、依存的な生き方ですよ。』

「子どものころ夏休みが楽しみだったのは、宿題もせずに1日中したいことをして、遊びほうけていたからだと思います。」

『スケジュールが決まっていたら、もうその日はやすみじゃないです。自由時間というのは至福の時間でないとね。』