けんか

「けんかは悪い。けんかはするな。けんかはどっちもどっち。ホントになくさないといけないことなの?」

『何を今さら言ってるんですか。』

「けんかがないこと=仲良し、信頼しあっているなんてきれいごとなんだ。」

『けんかはお互いいやな気分にさせるし、エスカレートしたら暴力事件になりますよ。危険です。』

「思いこみ、行き違い、先入観、不快感などなど人間が二人以上いたらけんかは起こって当たり前のこと。自分というものがある以上、それに逆らうやつは常にけんかの対象であって、我慢して何もなかったように振る舞うことはさらなるけんかのボルテージをあげるだけじゃないの?」

『それじゃうっぷん晴らしにけんかをしかけるわけ?とんでもないことになります。』

「口げんかもあれば、とっくみあいのけんかもあるよね。殴り合いでけがをすることもあるさ。我慢の限界がきたときに「キレル」んだから、対面しているけんかは、強引な自己主張をしているようなもんだ。」

『口げんかはあってもいいでしょうが、殴り合いなんて暴力です。話し合えば分かるのが人間じゃないですか。』

「こわいのは、恨み、怨念、報復の気持ちが高まって「ブッチギレ」たとき。一方的な奇襲攻撃で、相手の抹消ということも片隅には持ってる。これはもうけんかじゃなくて復讐。なんでここまでエスカレートするか考えてみたら?」

『やられたらやり返すという考え方がまちがっているのです。言葉で腹の立つことをぶつけていけばいいんです。』

「いやいや、こうなるまでにけんか段階の小競り合いが必要なんだ。からかうのに理由はいらない。うっとうしい、気が悪い、ださい、最低、服従しないなどのターゲットなら何でもいい。要はいんねんをつけることから、相手との力関係を試していこうとしているんだから。小競り合いの反撃がなければ、けんかにならず、繰り返しいんねんをつけ続けていじめると思うよ。」

『もとを正せば、言いたいことが言えなくなっているのが、おかしくなっている原因になります。』

「そうだろ。けんかは悪い、けんかをするなと子どもたちをいなしてきた積み重ねの結果が、途中の小競り合いを省略して突然爆発。何も起こらなかったから、腹にためていたことが分からなかったという言い訳は事すでに遅いね。」

『人間関係作りを本気でしていたら、けんかなんか仕掛けなくてもいいと思います。』

「うまくいけばね。けんかをすると本音がでる。人と人がつながるときにきれい事でない部分が見えてこないとつながりは表面的なものに終わるよね。口先で上手を言っていても、つきあっていくうちに言うこととすることが矛盾していて、得体の知れんやつじゃ、ということになる。もめ事を避けるために無視、疎外といった方法しかとらず、結局人と人がつながることを阻んでいるのがおかしいんだ。」

『小競り合いをもみ消したり、我慢することを放任したりしていると大変なことになりそう。』