暴力
「暴力、暴行の事件が最近なんか凄まじくなったと思うけど、気のせいでしょうか?」
『いやいや、気になるね。死に至る暴力を知らなさすぎると思うな。ここまでやっちゃうとヤバいってのがないね。』
「そりゃどういうことさ。闘争本能が狂っているとでもいうの?」
『というより、これをやったら命にかかわるぞっていう怖さかな。体のヤバイところって分かる?』
「頭と心臓に決まっているじゃないか。」
『出てくるのはそんなもんでしょう。お腹とか、首とか、太股の内側とか・・・もう少し詳しく知っておかないとね。』
「お腹は、人間も他の動物もいっしょみたいだけど、なんで致命傷になるのさ。」
『まず、みぞおちのあたりは太い動脈が集中しているからね。右脇の肝臓あたりも刺されるとかなり危険なんだよなあ。』
「首とか太股とかって意外なんだけど、やっぱりヤバいとこなんですか?」
『柔道なんかで首根っこを腕で絞められると頸動脈がストップして失神するんだよね。太股も太い動脈が通っているから、要注意!』
「ほら、手首の動脈切って自殺するってのがドラマなんかによくあるけど、あれホントなの?」
『ホントじゃないみたい。それはさておいて、どの程度で人間は死んじゃうのかが知識としてあれば、無謀な事件は減ると思うんだけどな。』
「新聞で読んだんだけど、刃物を持った暴漢に、素手でかかっていくのは無茶だって話がありましたっけ。」
『確かに。棒切れとか、椅子とかいるだろうね。学校なんかだったら、消火器の粉をぶっかけるのも手かな。』
「いざっていうときのために格闘技を必ず経験するなんてのはどう?柔道、剣道、空手、ボクシングいろいろあるよね。」
『難しいとこだね。格闘技も悪用すれば、より確実に死に至らしめる方法を知ることになるんだから。』
「行きつくところは、言いたいことがきちんと言える人間関係がいるってことになりそう。」
『要は人を傷つける必要がなくなればいいんだ。』