足代わり

「健康にとっても、気分的にも歩くのが一番いいのだけど、足の代わりは考え直したいな。」

『たまに歩いたり、自転車に乗ったりすると今まで見過ごしていた景色が見えるようになるんだから不思議なもんだ。』

「最近の建物は、階段がメインではなくてエレベーター、エスカレーター中心だから、便利なようで使わざるを得ない状況を作っているね。」

『高層ホテルに泊まったとき、エレベーターが朝っぱらから混雑して30分も待たされたのには頭に来たね。もう笑い話ですよ。』

「動く歩道をさっそうと歩いていくのもおもしろい気分だけど、はた目には何をそんなに急がないといけないのと苦笑してしまうね。」

『建物の中の足代わりだけでなく、近距離移動の足代わりも考え直す材料が多いね。』

「町中ではバスよりも路面電車がいい。路面電車は長距離は時間がかかるけど、車と同居しているから信号待ちのない交通システムになっていたら、すぐれた乗り物だと思うよ。何とものどかでのんびりしていていいじゃないですか。」

『路線バスは排ガスをまき散らすけど、路面電車はモーターだからその分大気への負担は少ないね。ただ、発電方法に問題は残すから、最善の交通機関とはいかないよ。』

「バスより地下鉄もよさそうだけど、なんか問題あるかなあ。地下鉄は工事費が高いけど、信号待ちもなく快適に時間どおりにいけるよね。」

『でも、事故とか火災とか地震になったら逃げ場が限られていて危なっかしい。それに水害になると地下は不安だし、軟弱地盤の所では作れない弱点があるよね。』

「採算を一番に考えた足代わり、人さえ適当にいれば経営は成り立つでしょうが、安全や効率のよさは後回しのところが否定できないよ。」

『日本の土地状況に合わせて、安全で無駄のない足代わりができないと快適さはどんどん失われてるんじゃないの。』

「採算のとれない人口流出地域、事故と渋滞の人口密集地域・・・アンバランスです。」

『採算をいつも考えながら、バリアフリーに対応する対策的な交通網が描かれてきたんだから、やがては行き詰まるでしょうに。信号はどんどんできて、流れはどんどん悪くなるのが現実です。』