制度疲労

「やんちゃなリーダーがでてくると期待感を持つ人が増えているみたいですね。」

『これまでの制度がくたびれ,金の流れが滞ったり,消えたりするとだれも信用できなくなっているんですよ。』

「予知できない地震みたいなもんですか?」

『似ていますけど,制度や金は人知を尽くせばどうにかなるもんです。右肩上がりの経済成長にだけ通用したことを引きずりすぎですよ。』

「金が流れないのに相変わらず使い道を一生懸命考えているのはおろかですね。」

『しぼり取りやすいところにねらいを定め,絞っても出ないところは見捨て,資金集めができる段取りだけ考えているように見えてしまいますよ。』

「国が手を切って民間に任せた日本航空と債務超過の東電を官業にするのは真反対のやり方じゃないですか?」

『国が出しゃばっても制度をひっくり返す段取りがなければ無理。既得権益を初期化するしかないんですよ。』

「似たようなことで,打ち出の小槌をあきらめて生産拠点を海外に移そうと考えている製造業は,雇用を守ることは後回しみたいです。作るものが変わらず,利益確保が目的ではうまくいかないでしょう。開発戦略が要だと思いますね。」

『多くの製造業がタイや中国に出向き,国内にダメージを起こした影響力をどう評価しているかですよ。』

「結局,消費を促すだけの労働収入が偏って景気は上向かないですね。」

『安定なところだけますますおいしい部分を享受したんです。末端にまで金が流れていく構図ではないですよ。』

「給料も下がるけど物価も下がる制度は一見正しいようで,しわ寄せは確実に出ましたね。」

『公務員と経営者が一番のんきな椅子にかじりついているわけです。』

「這い上がらないといけない層は,這い上がる意欲さえ見いだせない。なにが何でもという厳しさを避けていますね。」

『ないないづくしの生活から,金もうけをすることで満足を得ていた右肩上がりの時代にはがむしゃらや意地がありましたよ。不満も爆発しない現状です。』

「だからちゃぶ台をひっくり返すようなリーダーが欲しくなるのかな。」

『その背景には,会社にしても自治体にしても資金を預かっているという意識が見えてこないんですよ。』

「資金を私物化してみたり,債務に無頓着になったり,そこまでいかなくても我が身を削りたくない人が多いですからね。」

『田中正造さんが生きていたら,怒りとともにあきれかえりますよ。かつての創業者だってだめ出しすると思いますよ。』

「官民がもたれ合うとろくなことにならないはずなのに,責任の有耶無耶をうまく利用していますね。」

『産業をさまざまな場面で保護することが本当に役に立っているのかどうかです。』

「企業は失敗すれば必ず倒産するのが当たり前ですね。官業は倒産しないという思い込みが維持されるのは変で,赤字補填はますますぬるま湯になります。」

『失敗を埋め合わすような保護より,失敗を潔く認めて新たな起業を整えるほうが健全な選択だと思いますよ。』

「言い訳をしながら維持している制度が多すぎるから無駄も増えていませんか?」

『まずいことになっている制度は,ないものとして作り直すぐらいの思い切りが必要ですよ。』

「仲間内で壁を作っていることに不可解さを一番感じているのはアメリカかな?」

『情状酌量を続けていたらなにも変わらないと思っていますよ。』

「お抱え事業とともに,自由競争をさせない手枷足枷の制限はたくさん残っていますからね。」

『医療保険,年金保険,電気事業,薬事医療,農産物などなど。税を使って必ず国がすべきことを議論して欲しいですよ。』

「なにを仕掛けたら閉塞感を打ち破れるか,きっかけがたくさん出ているときだけに知恵を総動員したいところですね。」

『経世済民に立ち返るとき,本来の意味を学んで欲しいですよ。』