東京電力農業公社
「聞いたことのないような会社ですが,あるんですか?」
『ないですよ。つくってみたら評判になるんじゃないかと。』
「農業生産に参入するんですか?」
『まさか。賠償責任を果たす会社を立ち上げて貢献を促すんです。』
「ちょっと見えてきたけど,取扱品目は何ですか?」
『米です。福島県下40万トンほど生産されているんですが,風評被害の保障をするんです。』
「お金で責任とるんじゃなくて,買い付け,販売ですか?」
『その通り。売れない分は社員や関連会社の従業員に現物支給すればいい。』
「安く買って,高く払下げるなんてできないですね。」
『儲けなくていい。必要経費だけ乗せて,高く買い上げ,利益度外視で売ればいい。』
「社員ってどれくらいいいるんですか?」
『54000人ほど。やめさせなくても,農業公社を運営させればいい。』
「1人50kg消費したとしても27万トン消費できる勘定ですね。」
『でしょ。あと13万トンは痛み分けでがんばって売ればいい。』
「風評被害の怖さは実感できるでしょうね。でも,農業公社で米売るなんて簡単にいかないんではないですか。」
『販売免許を取るだけでいけます。ごめんなさいですまないことですから,体と頭を働かせて欲しいですね。』
「何年続くか分からない状況ですから,後始末の意味をこめてできますか?」
『料金に反映させて帳尻あわせをしたり,損害証明できない賠償を有耶無耶にしたりしないで,社会貢献を構築して処理に当たらないと,下手をすれば税金で丸抱えですよ。』
「因果がはっきりしているだけに逃れることはできませんね。」
『建設時の漁業補償は大判ふるまいをして,事故補償はほおかむりになりかけていますよ。』
「ところで,農業公社は米だけに限るんですか?」
『外野がとやかく言うことではありませんので,お任せです。』
「酪農,野菜,果物範囲は広いですよ。基準値を超えたものについては廃棄補償するしかないですよね。」
『責任を持って振り分けるところです。売ってもいいのに売れないのが辛いところです。』
「善意の販売者に後始末を頼るのはいかがなものか?」
『ただね,風評という偏見はできるだけ閉じ込めないで,多くの人が関わるのが一番いい。』
「企業は視野を広げて,消費者と持ちつ持たれつの関係を考えるときですね。」
『電気をつくらないとみんな困るだろうが…という奢りがあるんだな。』
「みなさんのお陰でというのはどんな業種でも一緒だと思うんですが。」
『農家,漁師,酪農家に限らず諸々の業種が絡み合って成り立っているわけです。専門化せず,異業種を展開できる企業は一歩先を行っていますよ。ふりかけを作っている会社がショウガを栽培したり,たばこを作っている会社が飲み物や冷凍食品を扱ったりしているのは現実の動きですから。さあて,誰か気づくかな???』