車社会

「車に乗りだしてから30年,首をかしげることが多くありましたね。」

『無事故無違反でしたかな?』

「残念ながら,脇見をして追突事故が1回,スピ−ド違反が3回,車だけのかすり傷は数回。大事には至っていませんね。」

『それは結構なことで。ところで首を何でかしげるのかな?』

「車に興味を持つ人が少なくなったとか事故死が減ったとかいう中で,周囲に気を遣う運転者がねぇ。」

『我が道を行く人が多いですか?』

「追突した経験があるだけに車間距離は気になりますね。」

『急ブレーキが間に合わないと。』

「メリットは何もないですからね。」

『ですね。』

「高速を走っているともっと気になる動き,混雑していないのに追い越したあとすぐ本線に入るんですね。」

『これまたメリットはない。車間を見計らって本線に戻るのが約束だったはず。』

「無頓着というか頑固というか流れに乗らない人もいらいらの元ですね。」

『意地でも制限速度を守って譲らない御仁かな?』

「それもあるし,やたらブレーキをぱかぱか踏む人も厄介ですね。」

『なめらかな流れを作ることなく,渋滞の引き金を引いている御仁ですな。』

「我が道を行く典型的な人は,方向指示器で意思表示しない人。少数派ですけどね。」

『突然ひょいと車線変更したり曲がり出してからウィンカーをつけたり。動きが読めません。』

「右折レーンに入ってからピコピコはやってしまいますね。」

『1車線しかないところで突然止まっている車。この人は何をしたいのだろうか謎。対向車がいなくなったとたんに右折のサイン。なんじゃらほいですわ。』

「ドキッとするのは信号待ちで大型車が止まっている後についたとき。突如バックに入れてブザーが鳴り始める。こればっかりはクラクションを鳴らしましたね。」

『自分の安全を守るためには意思表示は伝わってこそ意味がある。知らせただけではまだ不安な状態ですよ。』

「かつて新聞の投稿でブレーキに連動したランプを前にもつけるのがいいという意見がありました。なかなかいい考えだと思うんですけどね。」

『後続車はよくつかめるのに対向車は情報不足。むこうは止まるのか行くのか速度だけを頼りに予測するのは難しいですよ。』

「右折する側はぜひ知りたい情報ですね。」

『約束を守って運転すればいいという考えは一理あるようで,実は自分勝手な都合で相手に通用しない約束がまかり通る人がいるんですな。』

「情報不足を自己防衛する車は出ていますね。車載の記録カメラ。事故多発交差点にも監視カメラがつきだした。」

『あちこちで監視されていますよ。ぶつかった瞬間にどのような事態だったのか尋ねられても客観的な説明は難しいでしょうな。』

「居眠りならなおさら説明がつかないですね。睡魔に襲われて意識が途切れた後に事は起きるから無理です。」

『雪道,凍結路でも後の祭りが多いでしょうな。』

「止まると思っていたとか,突然滑ったとか,いけると思ったとか…もう言い訳ですね。」

『滑る,止まらないが当たり前。普通タイヤで雪道の峠越えをする人は,運よくいけたらと冒険してますな。』

「結局,滑ったら大きな迷惑。自分が困るだけでは済まないですからね。」

『自分の意思で動かす道具は,自分の判断が周囲に与える影響を知っていないと困りますよ。』

「わがままな人は自嘲しなさいと。」

『車を使いたい大勢の中の一人だということですね。』