外部からの提案の検討「税と点字ブロック」
岡山県租税教育推進協議会 発行  <税ってなんだ>総合的学習
2地域・福祉テーマ「点字ブロックはなんのためにあるの?」

 導入は「目隠しをして歩いてみよう」ということでよくある実践ですから、多くを語る必要はないでしょう。引っかかるのは、なぜブラインドウォークから点字ブロックを調べることに限定されるのかが謎めいています。目の見えない人の疑似体験からは、様々な問題点や疑問点が浮かび上がってきます。せっかく広がった間口を一気にせばめてしまうには、相当の納得できる理由が説明できないと困ってしまいます。「目の見えない人は街の中を自分の思い通りに歩くことができるでしょうか?」という問いかけをしたとしても、点字ブロックに行き当たるかもしれないというぐらいです。
 ですから、ステップ1「街へ出て点字ブロックを調べよう」では、少なくとも学区の中に設置されていないことには展開のしようがないことになります。郡部の学区では困難な材料です。遠足や校外学習でJRの駅にはいると出会うのが最短コースでしょうか。
 どんな条件下の学校でも実践できる身近な素材は共用商品が思い浮かびます。「目の見えない人はシャンプーとリンスの違いをどのようにして判別しているでしょうか?」というような事例です。身近なところから点字表示を探る過程の中で経験的に点字ブロックの話題がでることは可能です。
 次のステップ2関係施設訪問「交流しよう」については、直接目の見えない方に出会って学ぶことができれば得るものも大きいと思いますが、交流できるまでの道のりは、地域を知るところから始まります。これまた簡単に人材発掘がいかないところです。1回限りの訪問では表面的な理解に終わってしまいますから、親しくなる中で本当にふれさせたい思いに近づくことが可能になるのが、常のようです。逆に学校へ招待することで、様々な関門をくぐらなければならないという学びの材料が飛躍的に増えるよさも考えてほしいところです。
 ステップ3安全交通試験センター訪問「点字ブロックは誰が発明したの?」ここまでくると、ステップ4のためのつなぎにしかならないでしょう。福祉の問題を考えるとき、誰が負担するのかという問題と、共生を実現するにはなにが障害となっているかという問題は分けて考えないと混乱します。資金をつぎ込むだけでは福祉の充実は図られません。将来的に相互扶助と公的扶助の是非を子どもたちに問いかける場合、共生の実現を抜きにすることはできないでしょう。企業側から共用品の開発が進められるようになったのは、特定の人にとって使いにくい商品があるという共生の考えがきっかけになったからではないでしょうか。つまり、点字ブロックの開発を学ぶことだけが素材ではないのです。広がりのある学びの場を提供することは総合的な学習のよさにもなります。
 ここが協議会の所期の目的になります。ステップ4市役所訪問「点字ブロックのお金はどこが負担しているの?」ささいなことですが、この問いかけには「どこの点字ブロック」という指定がありません。駅や病院に至るまで公共施設になるところはすべてというわけにはいかないでしょう。ましてや、すべての道路にどうしてないのだろうか?お金がないからか!という短絡的な納得は危険さえはらんでいます。公的負担ができていない部分は、相互扶助に依存しているのが現実ですから、目の見えない人の立場に立って学習しないと、導入の設定が無駄になってしまいます。
 学級全体がこのステップを踏むことなく、選択肢としての一つに数えれば、この提案は可能でしょう。啓発の目的と学習の目的は一致しません。総合的な学習を進める子どもたちにとって、選択肢があるという設定は大切なことです。