小学校第3学年
 第1学年なら入門期として校種を問わず何らかのオリエンテーションが行われていると思います。ところが、総合的な学習の入門期は小学校第3学年になりますから、中学校、高等学校では思いもよらないオリエンテーションを考えなければなりません。初めて出会う学習にどのようなオリエンテーションを仕組まれたでしょうか?生活科から理科、社会科への橋渡しとは違った意味合いを持つだろうと思います。
 かつての思い出話になりますが、中学1年の最初に出会った英語の学習は、私自身面食らった経験があります。アルファベットは大文字も小文字もすでに読み書きできるだろうという前提で授業が始まったからです。ローマ字は小学校で習いましたが、英語は塾に行っている生徒以外は習っていません。ローマ字にない文字の書き方は自分で修得するしか手がありませんでした。スタート時点でおいてけぼりとなり、一歩先をいく先生についていくのがやっとだったということがありました。それ以来、語学との出会いはよくなく、ドイツ語に至っては義理で勉強したため、ほとんど単語の記憶さえないという有様です。
 では、第3学年の子どもたちに何を伝えることになるかまとめてみました。
・ 学ぶことを示した教科書はありません。
・ 身近なところから、学ぶことを見つけます。
・ 体験をとおして、学ぶことを見つけます。
・ 示されたテーマから取り組みたいことを連想します。
・ 心を動かされたことの中から、疑問や分からないことをさがします。
・ 方法を決めます。
 心を動かされるものは何もない、疑問や分からないことは何も思いつかない、興味がわかない・・・。スタートが切れない子どもたちには、選択肢を用意することです。体験や活動をまねていく中で興味を示すことを探り、軌道に乗せていくわけです。

 ここで見すごせない先生の力量が求められます。学級の人数が多いと、興味・関心にもとづいて無頓着なグループ化が行われます。確かに似たもの同士を寄せ集めておくと助言がしやすいという先生の都合はかなえられます。一方で、どうしていっしょにしないといけないのかという子どもの思いがかき消されるおそれもあります。原則として「学び」、「追求」は「個」の問題なのです。
 グループ化するとお互いに刺激しあい、磨き合うというよさを主張する先生がいます。逆にもたれ合い、依存しやすくなる欠点も見逃せません。思いつかない子どもたちは何もしないわけにはいきませんから、まねをし、コピーをして表向き形を取り繕うだけになることも考えられます。どんなに人数が多くても「学び」は「個」であるという基本をふまえてほしいと思っています。
 後は、以前に述べたことと重なりますが、柔軟に軌道修正したり、方向転換を図ったりすることで広げ、深めることができると思います。