総合的な学習の授業開き
 その年度のはじめての授業を開くとき、どの教科でもいわゆるオリエンテーションを仕組んでいくことは、普通に行われていると思います。総合的な学習の授業開きも子どもたちに対して最初の投げかけをして、1年間どんな学習を進めるか話し合う場は必要不可欠でしょう。年間指導計画を鵜呑みにして、いきなり今年度は「これこれをやります。」というような強引なことはされてないものと信じたいです。
 ただオリエンテーションをするだけでは、意味がないことはお分かりのことと思います。要になるのは、進めようとしている先生の思いと子どもたちの興味関心、夢とがどこでつながるかをすりあわせる時間にならなければなりません。自然に目を向けたい、環境に目を向けたい、福祉に目を向けたい・・・という先生の思いは、子どもたちに対して具体的な根拠を示して、なぜ自分たちが住んでいるこの地で目を向ける必要があるかを明確に持っていなければならないのです。

 問題解決的な学習に慣れていなければ、性急にことを進めようと誘導しやすくなりますが、ぐっと我慢した方がいいでしょう。子どもたちの思いつきをうまく理路整然と組み立てて、解決や方法の見通しをつかませる練習をして欲しいのです。レールを敷いているのではないかという不安と考える筋道の手ほどきをしているのだという先生としての自信を使い分けていただきたいのです。課題づくりでは子どもが自ら組み立てることが困難であれば、思いつくことを束ねて先生が「こんな課題はどうかな。」と選択肢を作って教えればいいのです。もちろん途中から変更してもかまわないことです。
 次に、子どもたちがやろうとしていることの全体像がつかめたら、およその使える時間を示して、計画を作らせていくことになります。厳密な計画ではなく、おおざっぱにすることを割り振るわけです。もちろん最終的な場面までできていなくても、徐々に付け足せばいいのです。
 あとは具体的な活動に入るまでに多様な方法を選択していける選択肢を先生が暫定的に示していきます。選択肢は子ども任せで放任するのではなく、実現可能な方法かどうかを見極めながら進めることを約束しておきます。ただ、先生が煩わしさから、選択肢を狭めてしまうと子どもの豊かな発想をつぶしてしまいますから、まさに子どもとともに学ぶ姿勢を持った方がいいでしょう。
 授業開きの時に1学期なら1学期間「やってみたい」という思い、意欲を支え続けなければなりませんから、ひとくくりの一連の流れをどの学年であっても知らせていないと子どもは自ら動かないと思います。「先生、つぎは何をするの?」と問われてしまったら、立ち止まって見通しを確認し直した方がいいでしょう。場合によっては中止して建て直しを図る勇気がいります。行き詰まったときに誘導すればするほど、子どもたちは自分で考えようとせず、先生の考えに依存するようになると思います。
 オリエンテーションで方法だけを話し合うことのないように期待感のある、夢のある学習テーマを展開していただきたいと思います。