素材の傾向
 総合的な学習の時間の試行中に県内の小学校で取り上げられているテーマの中から素材を抽出してみました。交流やボランティア、町づくり、人材などは抽象的すぎるか、余りにも個別的すぎるので省いてしまいました。(「総合的な学習の時間の創造」パート2 県小学校長会調査研究委員会編集 2001.3.1 を参照して集計しました。)
食素材
柿 ぶどう なし いちご カボチャ 大豆 メロン かき ズッキーニ もも
ソバ お茶 山芋 じねんじょ 米 レンコン トマト しいいたけ サツマイモ
山菜テングサ トウモロコシ たまご ゴボウ 黒大豆 タンポポ アズキ
おこわ うどん そうめん もち アイスクリーム
動物素材
鮎 チョウ 川魚 アイガモ メダカ カブトガニ ホタル トンボ 和牛
ジャコウアゲハ
植物素材
木 綿 ウルシ バラ ケナフ 菊 ラン 竹 炭 わら 和紙 しめなわ
おかざり
環境素材
海 港 川 公園 池 湖 山 史跡 遺跡 水路 干拓地 用水 ごみ
伝統素材
太鼓 傘踊り 鉄たたら 備前焼 吉備焼 野焼き 川船
外国素材
ドイツ 中国 タイ シドニー ブラジル 台湾、インド
 以上の素材は、テーマに掲げられた言葉から、私のカテゴリーで再集計したものです。すべて、地域の中の特色として取り上げられる地域素材であることが特徴づけられます。どのような流れで学習が進められたかは把握できませんが、今後、素材探しをしていくうえで参考になるのではないかと思います。
 地域素材に目を向けるとき、先生自身の「なぜそこに住むようになったのか。」「なぜそこに家を建てることにしたのか。」「なぜその素材が特化したのか。」といった素朴な疑問が、人と物を結びつけた生活の中の価値観を見いだすきっかけになると思います。長年そこでくらしてきた人たちが、生活の知恵として積み上げ、伝承しているから、今の生活が成り立っているわけです。

 丘陵地を造成してまで家を建てなかったところに、開発と称して家を建てているのは、生活の知恵を抜きにしています。水に何度も浸かっているのにその場所を動かないで住み続けている現実もあります。人間が手を加えたことで、安全が保障されなくなったのではないかという疑問もわき起こります。環境や人権は取り立ててテーマにしなくても網の目のようにかかわっていることをつかんでいただけるものと思います。
 何も問題が見つからないのではなく、地域の素材の中には数多くの問題がひそんでいると思うのです。だからこそ、気候風土も含めてふるさとのよさを学び取る入り口になるのではないでしょうか。