教育課程の編成と総合
 この時期、教育課程の編成がどこの学校でも進められていると思います。総合的な学習を展開していくうえで、教育課程の中身はどのように組み立てられているでしょうか。割り切れない教科の時間の配分をいかにするか、特色ある教育活動をいかに表現するか、余裕時間をいかに計画し、クラブをどれぐらいにしようかなどなど、数字あわせに四苦八苦しているのが現実だと思います。
 数字だけを調整するのが目的ではなく、目標を実現していくための編成となることが、のちのち大切な意味を持ってきます。そのことをおろそかにしていると行事の日取りを調整することは当然としても、時間の取り方まで近隣の学校で調整してしまう弊害が出てきます。学校の独自性は編成基準の枠組みの中で最大限に活用して創造していかなければならないものです。
 では、教育課程の中で総合的な学習の時間はどのように位置づけられているでしょうか。直接、教育課程の編成作業にあたらない先生にとっては、単純にそれぞれの学年に何時間配当しているかだけが目にとまることになります。それでは、次の作業に入っていけないわけです。編成表に盛り込まれた目標や指導の重点とどのようにつながるのかを把握したうえで総合的な学習の展開計画を一人ひとりの先生が思い描くことが必要になるのです。
 どの校種でも専門的にその教科だけを延々と担当することはあり得ません。教科担任制を実施している校種であっても、一つの教科だけしか担当していないという先生は非常にまれではないかと思っています。担当の先生が固定しているならば、極端な場合好きなようにすればいいのでしょうが、特に小学校では担任はしばしば入れ替わります。
 だからこそ、この時期に本年度の取り組みを総括して、指導者としての評価を実施し、どこまで子どもたちが体験をとおして学習したか、自分以外の先生に伝えられるようにしておかなければなりません。各教科は教科書がありますから、教科書を引き継ぎ、年間指導計画を手入れすればこと足ります。
 しかし、総合的な学習の時間にしたことは何が引き継げるでしょうか。果敢にもポートフォリオ、形成的評価に取り組んだ先生ならば、引き継げる価値ある資料が多いでしょう。このような引継資料と教育課程の編成表をもとにして、次年度は総合的な学習をどのように進めていこうかと思い描ける準備が必要になります。そうしないと転任者が一番に困り果てるのではないかと心配します。考えのない先生は、前年の実践を形だけまねるのではないかとおそれています。
 教育課程と年間指導計画は一くくりの学校教育活動の指針を示す書類なんだという認識を持って欲しいと願っています。編成者と同様に学校教育活動の全体像が見える先生をめざして欲しいと願っています。教育課程は時間割を作るためだけの資料ではありません。