課題発見の道「小麦」

 身近な食材であり、栽培も容易なのですが、学年をまたいで収穫しなければならないという問題点を踏まえて計画しなければなりません。米の裏作として昔はどこでも栽培していたのですが、麦畑の風景はビール用の麦を見かけるだけになりました。私が子どものころは、麦が粉にかわったり、ご飯と混ぜて炊くための押し麦になったりという現実がありました。また、麦わらは屋根を葺き替える材料として栽培せざるを得ない状況もありました。
 小麦を原料にした食品は多くの種類がありますから、栽培して、食べたい物を作るという流れは組み立てやすいでしょう。およそ7か月間かかりますから、米よりは意識の連続性を保つのに苦労しそうです。
「小麦を育てて何をつくろうか。」

「小麦を育てていたころはどんな暮らしだったのだろうか。」
 食料をできるだけ自給していた時代のよさは、多様な食文化を取り入れていたことでつかむことができます。西洋のまねではなく日本独自の文化が見つかります。小麦は前述したとおり栽培している人が大変少ないですから、農協を通じて種を手に入れることになるでしょう。たぶん1kg単位で販売するはずです。
・小麦を栽培しなくなったのはどうしてなのだろうか。
・小麦を粉にするにはどうしたらいいのだろうか。
・小麦の育て方は難しいのだろうか。
・麦踏みって何のためにしたんだろう。
・小麦粉を使った日本だけの料理方法ってあるのだろうか。
・粉にしないで食べる方法はあるのだろうか。
・うどんはどのようにして作るのだろうか。
・強力粉、薄力粉って何が違うのだろうか。
・店で売られている小麦粉はどこからやってきたのだろうか。
・中国や韓国など日本に近い国の小麦粉を使った料理には、どんなものがあるのだろうか。。
 7か月の流れの中で、穂が出てくるのは進級後になるでしょう。それまではあまり手がかかりませんから、疑問を生み出す時間はたっぷりあります。新学年になって早い段階から、ぐんぐん成長する姿を追って問題を掘り起こすことが大切です。麦秋を迎えて収穫後にしていく粉づくりの体験から話題は増えるでしょう。
○国産小麦と外国産小麦は何が違うのか。
○麺類の食文化をとおして外国のことが分かるだろうか。
○日本で小麦を栽培しなくなったのはなぜか。
 麩は日本独特の食材です。麺類は作り方や形を変えてあちこちの国で親しまれています。小麦を自給しなくなってもそれらの食文化は生き続けていますが、どうして小麦を作らなくなったかです。暮らしが政治や経済と直結していることを考えるよい材料になるでしょう。