課題発見の道「アイマスク体験」

 数多く実践されている素材です。体験の感想で終わってしまうか、広がっていくかは先生の切り返しがかぎになると思います。見えている人が見えない体験をすることによって、見えない人の苦労や願いを認識できるのではないはずです。疑似体験はどこまで追求してみても疑似の世界です。そこを切り返すとき、見えない人がどんな思いで生活しているかを直接、見えない人と交流することによって、見えない人の思いを学ぶことができるようになると考えます。
「見えない人は生活の中でどんなことに困っているでしょうか。」
「見えない人が見える人以上に気をつけていることはなんでしょうか。」
 見えない人と交流する中で、生活のほとんどは工夫することによって、何ら不便を感じていないという答えが返ってきます。ところが、いくつかは自分の力でどうにもならないことが残っています。そこから、次に追求してみたい問題点が浮かび上がってきます。
・見えない人のことを考えた商品にはどんなものがあるのだろうか。
・点字はどんな仕組みになっているのだろうか。
・町の中で見えない人のことを考えたものとしてどんなものがあるのだろうか。
・見えない人を誘導するときはどうして誘導する人が前に行くのだろうか。
・学校に見えない人がやってきたら、どうしたらいいのだろうか。
・見えない人は自動販売機で飲み物が買えるだろうか。
・料理をするときに火は使えるのだろうか。
・絵を楽しむことはどうしてもできないのだろうか。
・病院でもらう薬は見分けられるのだろうか。
 バリアフリーというのは大仕掛けなものに見える先入観があります。生活のあらゆる場面で、ほんとうにだれにとっても安心できるのだろうかという視点があれば、子どもたちにとっての解決してみたい課題はどんどん見えてくるはずです。
○わたしたちの住んでいる町はほんとうに住みやすいのか。
○どんな人でも使いやすい道具はどこまで開発されているのか。
○世の中の障害はまだどれくらい残っているのだろうか。
 障害というのは見えない人が持っているのではなく、見える人たちが見えない場合のことに思いが至っているかどうかということになります。そして、見えない人も、見える人もそのさしさわりをなくしていくことでバリアフリーは実現します。