課題発見の道「ソバづくり」

 特定の作物を作るときは、作ることが目的化してしまいやすいことを先生は知っておかなくてはなりません。収穫して、食べて満足したら結末を迎えてしまう恐れがあるということです。ソバは7〜80日で収穫できること、肥料をほとんど要求しないこと、春秋どちらでも植えられること、雑穀として古くから栽培されてきたことなどが特徴としてあげられます。
 では、そばづくりにたどりつくまでのなげかけをどうすればよいでしょうか。
「できるだけ短い期間で収穫できる食料を探そう。」
「江戸時代の農民にとってそばは貴重な食料でした。どうしてでしょう。」
・そばはどうしてこんなに早く成長するのだろうか。
・肥料を与えなくてもぐんぐん育つのはどうしてだろういつ収穫したらいいのだろうか。
・麺にする以外にどんな食べ方があるのだろうか。
・荒れ地でも育つのだろうか。
・粉にするにはどうしたらいいのだろうか。
・成長記録をとってみようか。
・春に植えてもう一回秋植えにも挑戦してみようか。
・秋植えに成功したら、学年末にもう一回植えてみようか。
 植えてから手をかけることがほとんどないため、どんどん伸びる様子を観察していくことは、他の植物の生長と比較することで得るものは大きいと思います。育てる過程、収穫の過程、調理の過程それぞれから先人の知恵に学ぶ中で奥の深い問題に出くわしそうです。
○ソバはなぜ主食の座につけないのか。
○ソバにはどんなよさがあるのか。
○身の回りでソバはどのように利用されているのか。

 子どものころに食べた「そばかき」(そば粉を熱湯で練り、砂糖で味付けしたもの)は、もっと食べたい、また食べたいというものではありませんでした。栽培は容易ですが、加工する手間は米よりも大きいでしょう。最終的に負の価値観を背負ったそばに「よさ」を見いだしていくことで、ほんとうのよさに気づいていくことができたならば、子どもたちの学びの成果は大きいと思います。