総合的な学習の発問「異文化」
外国との接点を求めるとき、ついつい高学年からの社会科に頼ることが多くなります。外国に依存している日本の現状から、外国そのものはたいへん見えにくくなっています。姿形を変えてしまっていますから、表示に頼って探る方法が一般的です。つまり、荷揚げされる小麦の粒を直に見る人はわずかな人たちです。ほとんどの人が小麦粉として見るだけです。
しかしながら、身近なところで外国を探し当てることはたやすいと思います。物と人に焦点を当てて、標的と自分をつなぐ糸を見つけていくことになります。国際交流事業にはめ込まれて参画している場合は、当初に設定されていた枠組みに固執することなく柔軟に企画していくことができればおもしろくなります。
さて、初っぱなから外国の人を捜すことは唐突ですから、異文化交流のきっかけをつかむ場面設定がいります。
「外国の人は日本のことをどれだけ知っているでしょうか?」
「わたしたちは外国のことをどれだけ分かっているでしょうか?」
「では、どんな方法で調べますか?」
一方、物に目を向けていくと
「日本で最も多く見かけるのはどこの国の言葉でしょうか?」
という調査から始めることも可能です。ただし、和製英語も結構あるので、信じて疑わない子どもたちに刺激を与えることも必要でしょう。人口比からいえば中国語、ロシア語、フランス語の勢力は強いのですが、経済基盤を軸にした言語は圧倒的に英語になってしまいます。英会話が重視されるのは政治、経済、文化の分野でメリットが大きいわけです。余談ですが、パソコンにとっつきにくい人は、英会話に対しても同様になりやすいかもしれません。英語で動くようにパソコンは仕組まれているからです。
また、人種という観点から固定観念を破っておく場面も設定しておきたいものです。肌の色が白色系、黒色系、黄色系、髪の色が黒色系、金色系、赤色系。瞳の色が黒色系、灰色系、青色系、と多様な中で、自分たちと同じ黄色系、黒髪、瞳が黒という外国人を意識できない子どもたちがいるからです。白色系、金髪なら絶対外国人だと思いこんでいる人も多いわけです。
多様な人種の人たちがそろっている写真を用意して、
「どの人が外国人だと思いますか?」
という討論をしても盛り上がるのでないでしょうか。