総合的な学習の発問「自然」
地域素材としての森や川に目を向けたいとき、アプローチの方法が二つ考えられます。一つは、環境問題の検証をしていく過程で、生き物への影響を探る方法です。もう一つは、理科の学習に関連させて、自然探検をしていく中で問題を見つける方法です。いずれの場合にも大きなくくりで興味・関心を持たせることがむずかしいと感じている方は多いと思います。子どもの本に数多くの研究成果が示されていることに原因があります。問題提起、観察実験による検証、結論が明解に片づけられていると思いこんでいるだけです。つまり、分かっていないことはこの世の中にいっぱいあるんだと先生自身が気づいていないといけません。先生に探求心があれば、子どもに対する仕掛けもたくさん出てきます。
「私たちの住んでいるところに自然は残っているでしょうか?」
「自然がいっぱいの○○でどんなことをしたいですか?」
大きな枠組みのなげかけは、基礎的な知識を前提にしていますから、自然科学に興味を持ちにくい子どもにとっては考える材料が少なくなります。そこで登場するのが、自然に親しみ、探求心の芽を育てる実践的な方法が必要になってきます。問題と結果がワンセットになって示されている学習環境の中で、まだまだ結論の出ていない未知の世界が身近にいっぱいあることを示していくのです。
「どうして・・・。」
「なぜ・・・。」
「なんで・・・。」
「ホントに・・・。」
もう一つ欠かせない方法が、不思議な現象、珍しい現象、珍しい物、正体の分からない物などに対する感受性を共有することです。
「不思議だねぇ。」
「これはおもしろいねぇ。」
「かわってるなあ、これ何だろう。」
「珍しい物見つけたねぇ。」
「きれいだねぇ。」
自然科学に限らないでしょうが、とりわけ自然科学については冷めた見方をしやすいと思います。分かり切ったことでも、理屈で説明したくなることでも、一つずつ子どもの感性をこわさないように疑問や感動を分かち合うところから学習が始まっていきます。「先生、どうして・・・なの?」と問われても、「うーんふしぎだねぇ。どうしてだろう・・・?」と問い返すことです。続いて、「調べてみよう。」「探してみよう。」とさそいかけることで、小さな科学者は育っていくと考えます。