学習素材「ラッカセイ」
 和名が落花生、名前から特徴をつかむことができます。結実した子房の根本が伸長し、土の中に潜り込み、大きくなります。動物に食害されることを避けようとする植物の知恵は興味をそそります。また、固いからに豆が包まれていることから、土中の虫に食害されない知恵を読み取ることもできます。
 植物の種は、動物に食べられないようにするより、食べられても果肉だけ提供して、種子は消化されないまま運ばせる場合が多くなっています。種子が自ら移動できないため、動物、風、自らの成長によって移動を可能にしているのです。ラッカセイは、自らが生えていたところよりも離れたところに種子になる部分を下垂させます。そうすることで、最大50cmぐらいは移動できます。
 収穫直後の豆はゆでて食べることができます。成熟しているかどうかが最も分かりやすい食べ方です。炒る場合はとろ火で時間をかけて処理します。からを付けたまま行うと、火が通るまでかなりの時間がかかるでしょう。手軽に調理するには、電子レンジです。からの水分が先に飛んでしまうことから,皿に盛って調理すると焦げてしまうことがあり、注意が必要です。紙袋に余裕を持って入れてやるとうまくいきます。また、油で揚げて塩味をつけるのも手軽な調理法です。ただし、あみじゃくしなどを使って工夫しないとすくい上げるのに困ってしまいます。
 火を通した豆は、2次的に利用されています。クッキーやケーキなどに混ぜたり、煮込み料理に使われたりします。
 ピーナッツ豆腐は、豆腐と名がつくものの、にがりは使いません。生の豆をペースト状にすりつぶし、くず粉あるいは片栗粉を混ぜて、熱を加えながら練り上げたものです。豆が丸ごと入りますから、大豆の豆腐とは大きな違いがあります。デンプンで固めたとはいえ、それなりの食感と風味をいただくことができます。
 ピーナッツバターは、炒ったピーナッツの薄皮と胚芽をとりのぞいたものをひたすらすりつぶせばできます。食塩または砂糖、水飴であじつけしたものが市販品です。
 味噌ピーはご当地総菜(千葉・茨城)ですから、西日本ではなじみがありません。類似品では小豆島の醤油豆があり、こちらの原料はソラマメです。

 以上のように収穫後の加工法を調べていけば多様ですから、素材としては興味の幅を広げていきやすいでしょう。もちろん、他の植物では見られない生態が一番興味をひくことです。種の保存は容易ですので、来年度のためにぜひ引き継ぐようにしたいものです。落花生は、毎年種や苗を買ってはいけません。からをつけたままでも発芽しますが、豆を取り出してから種蒔きした方が早く芽が出ます。