学習素材「スプラウト」
 一時期話題になり、スプラウトというカタカナの名前が知られるようになりました。植物の新芽をスプラウトといいます。モヤシやカイワレダイコンは以前からあるおなじみの食材です。発芽環境の設定方法が二通りあります。暗黒で育て、緑化させない代表格がモヤシです。カイワレは発芽途中まで暗黒で、一定の長さに伸びたら緑化させています。最近注目されている発芽玄米は、発芽直後を食べています。
 スプラウトは、種子の本来の栄養成分が発芽させることにより、本来もっていない栄養成分に変化することに特徴があります。しかし、最初からスプラウト状態で食べることを目的としない食べ方があります。それは間引き菜です。蒔いた種をすべて育てることなく、間隔をおいて成長させるために間引きを行います。捨てるのはもったいないから、おひたしにしたり、菜飯にしたりして食べます。発芽直後を食べるという点ではスプラウトの仲間内になります。
 ただし、市販の種を使う場合、問題となることが一つだけあります。種子に薬剤処理をしているものが多く、幼苗を食べるには適していない場合がありますので、おすすめできません。もちろん、スプラウト専用の種であれば、そうした心配はなくなりますし、自前で採取した種であれば安心して使えます。
 学習素材としてスプラウトを扱う場合、食材としての特性、栽培期間の短さ、多様な種類を試すことができるというよさがあります。幼苗の中には毒性を持つものもありますので、何でも試してよいというわけにはいきません。下調べは念入りに行っていただきたいと思います。安易に手当たり次第にやってしまうと事故につながりますから、予備知識を得ておくのは先生の役割です。教科との関連性では、理科教材の発芽観察の延長線として考えるのが一番順当な流れになります。
 私の栽培経験の中でおすすめの種は、ソバです。春秋どちらでもよく、適期が長いので融通がききます。2週間ほどで収穫でき、種を取らないのであれば水耕栽培でもできます。ソバを食べるという一連の取り組みの中で、スプラウトとしても食べられるという流れも設定できます。種を取ることとスプラウトで食べることを目的として設定してもいいでしょう。工夫したい部分は、調理方法です。最も簡単な方法は、さっと湯通ししてサラダにしたり、5分ほど湯がしておひたしにしたりする献立です。みそ汁やスープの具材としても適しています。
 もう一つは、アマランサスです。ほうれん草の仲間ですから、少しあくがあり、においと味にくせがあります。本葉が4枚ぐらいになるとやや硬くなります。慣れてしまえばおひたしで結構いけます。柔らかさを確保するには、光を遮断してモヤシと同様に育てることで可能なのではないかと思います。試していないため予想です。