学習素材「ゴーヤ」
 ゴーヤチャンプルーでお馴染みの沖縄料理には欠かせない食材です。別名として、ツルレイシ、ニガウリという呼び名があります。苦み成分が多く、好き嫌いが大きく分かれる野菜です。トマトやキュウリはしばしば登場しますが、ゴーヤが取り上げられることは少ないのではないかと思います。
 ゴーヤは苦いものと一口で言えなくなりました、近年、苦みの強いものから、やや苦みを抑えた改良品種まで多様化しています。栄養価値が見直され、健康食品ブームに乗って、改良が進んだようです。以前からある、細身の濃い緑をしたものを食べたときは、苦さゆえ飛びつくことができませんでした。しかし、3年前、苦みが少ないから口に合うはずと勧められて栽培するようになりました。品種名は不明ですがウリの表面は薄い黄緑色です。ていねいに中綿をとれば、ほどよい苦さで炒め物、煮物、和え物に使え、重宝しています。
 表皮のイボイボは独特の姿で、食欲を誘うものではないでしょう。どの品種も、熟れてくると果肉が黄色になり、柔らかくなって、形が崩れていきます。種の周りの果肉は鮮やかな橙色になり、見るからにグロテスクな感じを受けます。来年用の種を取るときは、このように完熟したものを選びます。水洗いすれば、果肉は簡単にとれ、こげ茶色の種を集めることができます。ただし、わざわざ種を取る段取りをしなくとも、取り損なって落果したものを拾い集めると、来年用の種にできます。
 栽培はいたって簡単で、気をつけることはほとんどありません。強いていえば、発芽までに日数がかかります。直蒔きして10日から2週間ぐらい必要です。熱帯地方原産のため、日中の気温が25℃を超えるぐらいが種まきの目安です。ビニルポットに蒔いて水の管理をすればもう少し早まるかもしれません。
 本葉が4〜5枚になると、支柱かネットを張って誘引します。芽を摘む作業をしないで、放任しても問題なく育ちます。生育旺盛で、支柱やネットは頑丈に組みます。蔓は支柱やネットが見えないぐらいにおごります。また、台風がきても心配ないように、丈夫な支柱と杭を打ち込むことをお勧めします。毎年台風で倒されている経験から申し添えておきます。肥料は植える前の元肥、途中2、3回程度の追肥で十分です。
 40日から50日経過すると収穫できるようになります。キュウリは降雨が少ないと水やりが必要になりますが、ゴーヤは乾燥にも強いです。収穫期になると、枝分かれして蔓も勢いよく伸びます。地面をはうような蔓も出てきますから、時々誘引するとよいでしょう。このころになると葉から独特のにおいがしてくるのが分かると思います。このにおいと苦みがあるからか、病虫害の心配はほとんどありません。他の野菜が虫に食われていても、食害はわずかでした。
 ゴーヤを学習素材としてお勧めする理由は、苦みへの挑戦です。ピーマンとは比較にならない苦みです。なぜ、苦みのある野菜を食べてきたのかという謎解きをしていくなかで、苦みを和らげるコツも学ぶことができます。種と実の間にある白い中綿をていねいにスプーンを使って取ることで苦みは減り、下処理として湯通しすることでも苦みは減ります。油を使ったり、カレーのような辛みと出会わせたりすることでも苦みは減ります。
 気をつけていただきたいのは、品種の選択です。苦みが強すぎる品種ですと、子どもたちだけでなく先生までお手上げになることも考えられます。先ずは、先生自らが試しの栽培をしてみると自信もつくと思います。
 沖縄でなぜゴーヤを栽培して食べるようになったか、謎解きを広げることが可能です。理由の一つとして出てくる過酷な条件は、栽培の過程で再現することができます。さらに追究すると、長寿の謎が見えてきます。地域の特性をつかむ中で、ゴーヤ以外の食材に目が向くようになるでしょう。
 お断りしておきたいのは、ゴーヤの栽培は全国どこでも可能とはいえません。冷涼な地方では気温が不足することも考えられますので、試行をしていただきたいと思います。

ゴーヤの種が欲しいという方は下記宛てにどうぞ。
707-0044美作市海田2552 福田昌弘
(80円切手を貼った返信用封筒を送ってください。)