学習素材「ゴマ」
 脇役として様々な調理、加工に使われているゴマです。種子の表皮の色で黒、白、金の3種類が流通しています。ゴマに紛れてWEB上に登場してくるエゴマは、名前にゴマとつきますが、ゴマの仲間ではありません。シソ科の植物ですから、全く別物です。ただ、ゴマと同じように種子から油を絞ることができ、ゴマの代用品になっていたいきさつもあります。
 ゴマは栽培経験がありません。幼少のころ自家用で祖母が栽培していた記憶はあります。また、近所の方で長年栽培している方がいましたので、毎年、成長過程は見ることができました。4月下旬から5月にかけて直まきをし、本葉が出そろったころに間引いて、土寄せの作業をします。畝を立てるのではなく、耕したあと平らにし、浅い溝をつくって播種します。草丈が大豆よりも高くなりますから、倒れないように途中で土寄せをするわけです。途中経過を観察していないと畝を立てて蒔いたのかと勘違いします。
 余談を少々。作物を育てるとき、畝をなぜ作るのかという疑問を解明してから挑戦していただきたいと思います。圃場の水はけがよくない、長い根が伸びやすいようにするなど、土地や作物の特徴を知って植え付けることは大切なことです。そして、作物の倒伏を防いだり、除草をしたりした結果できた畝は区別してください。
 ゴマは病虫害が少なく、栽培しやすい作物です。葉が大きくなる9月頃スズメガの幼虫が葉を食べることがあります。この幼虫は大きくなると長さ10cmほどにもなります。大量に見つかることはありませんから、捕殺することで対応できます。頂上部の若い葉にアブラムシがつく場合もありますが、天敵のテントウムシがいるところでは大きな影響はでません。
 収穫にあたっては、下から順に実が成熟していきますから、すべてが成熟するのを待って収穫すると、最初の実が弾けてしまいます。これは、イネ、ソバにも当てはまります。イネは実が成熟しても落ちにくい性質を持たせるように品種改良されています。従って、原種に近いものほど熟れると落ちます。ソバは頂上部の花が咲き始めたころが収穫時になりますが、最初に結実したものは落ちています。
 刈り取ると、ひたすらシートの上で天日乾燥するだけです。乾燥させることによって、上の方の未成熟な種子も色が付き、しっかりとした粒になります。さやが弾けると軽くたたく程度で種子が落ちていきます。強引に踏んだり、たたいたりしないことです。最後の仕上げは、ゴミと種子を選別するだけです。ふるい、とうみ(唐箕)を使えば簡単にできます。

 学習素材としてゴマをお勧めする理由は、複合させても、単品でも使えるということです。その点では、大豆とよく似ていますが、油を絞るにはゴマのほうが扱いやすいでしょう。もう一つの学ぶ材料として、栄養成分としてのセサミンを効率よく吸収するためには調理法が限定されます。種子の皮が固く、丸ごと食べてもお腹の中では消化されにくいのです。つまり、そのまま出てしまうわけです。
 複合させるときは、他の野菜との組み合わせたときの調理法や収穫時期を検討しておく必要があります。インゲンは収穫期がずれてしまいます。ホウレンソウやゴボウ、ダイコン、ニンジンなどはうまく重なります。調理法の例として、コロッケなどのころもに
ゴマを使うという変わり種もあります。パン粉の代わりにゴマをまぶします。ただし、前述したとおり消化しやすい調理法とはいえません。
 ゴマをする、ペースト状にするという調理法はまことに理にかなった方法なのです。身近な脇役としてのゴマは、食べ方を学ぶのに適しています。