学習素材「ナタマメ」
 ナタマメは福神漬けの材料の一つに使われています。若採りした鞘を千切りにし、漬け込んであります。脇役としては身近ですが、マメそのものとしては馴染みがほとんどないと思います。
 私がナタマメと出会った経緯を紹介します。かつて10年前に一回だけ栽培しました。当時は味噌漬けぐらいしか用途がなく、勤務校の地域の特産品として商品開発されたワイン漬けを食べた程度で、興味は立ち消えしてしまいました。
 2年前ぐらいから栄養成分が注目され、若採りの鞘を煮物や炒め物で調理したり、完熟した豆を焙煎したナタマメ茶として販売されたり、豆そのものを調理したりする用途が広まっていきました。
 2005年に再び栽培を思い立ったのは、マメも食べられるという品種に出会ったからです。これで若採りの鞘だけでなく、採り損ねて大きくなってしまったマメも食べることができ、無駄がなくなりました。というのは、品種を調べているときにマメには毒性があるということが分かったのです。青酸多糖類と有毒サポニンが含まれている品種があり、逆にこのことが漢方の原料としても利用されているようです。
 以前育てたものはマメの表面がピンク色で赤ナタマメと呼ばれているものでした。完熟したマメに弱毒生があるということです。水にさらすことが多くなる餡の調理では問題ないようです。今年育てたものは、花も豆も純白で、種苗店から入手した白ナタマメです。鞘にもマメにも毒性はないという保証つきでした。流通している中にタチナタマメというのがあります。鞘、マメともに毒性があり、調理法が限定されますから、要注意です。花は薄いピンク色になるということです。これらの予備知識があれば、マメの入手経路に気を付けないといけないことがお分かりいただけると思います。種苗店で手に入れることが一番安心できます。そして、種を保存しておくと継続栽培が可能でしょう。
 ナタマメを学習素材としてお勧めする一番のメリットは作りやすいということです。病虫害をほとんど受けません。アサガオやヘチマ同様、蔓が伸びるのを支えるネットか支柱を用意しておけば、後は放任状態で収穫までたどり着けます。若い鞘は7月ごろから、マメは9月ごろからと、学校の動きに対応できる収穫時期も都合よくできています。2番目のメリットとして、鞘は腕ぐらいになり、子どもたちに驚きを提供できます。例えば、巨大になる作物としてジャイアントアトランティックというジャンボカボチャがあります。これは飼料作物ですから、単に大きく育てて驚くだけになります。子どもたちの興味関心を持続させるために、育てて食べるという条件は大きいと思います。
 熱帯アジア原産、中国南部が主産地です。西日本では問題なく栽培できる気温となります。寒冷地でどの程度生育するのかは未確認です。霜が降りると鞘が腐れてしまいましたので、収穫の限度は10月いっぱいまででした。

 ナタマメを先生の提案でいきなり持ち込むことはできませんから、食用豆というカテゴリーの一つとして選択導入することになります。「珍しいもの」「大きいもの」という投げかけでは広がりすぎるでしょう。豆といえば大豆が最も身近な存在ですから、いったん枠組みを広げて多様な食用豆を調べていくことで取り込めると思います。
 先生自身が育てて、最終的に完熟した鞘を保存しておけば、興味を持たせるための提示資料に使えます。ナタマメからマメに広げて、マメという素材に興味を持たせるうえで、大きなナタマメを見せることは子どもたちに驚きを与えると思います。

ナタマメの種が欲しいという方は下記宛てにどうぞ。
707-0044美作市海田2552 福田昌弘
(120円切手を貼った返信用封筒を送ってください。)