実践事例を見る(49)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 龍郷町立円小学校
所在地 鹿児島県大島郡龍郷町円731
URL http://www4.ocn.ne.jp/~ensyou/index.html
電話 Tel 0997-62-4303
学年 3,4,5,6年
テーマ
探求活動
カテゴリー 子どもの興味・関心

 公開されている中から平成13年5月の実践に次のような導入部分が紹介されていました。

オリエンテーション
●制作・栽培
お菓子を作りたい、黒砂糖を作りたい、オリジナルTシャツを作る、バッグを作りたい、すいかをつくってみたい、畑にひまわりを植えたい、いちごを育てたい
●チャレンジ
髪型デザイナーになりたい、占い師になりたい、手品師になりたい  
●名人・達人
スケボーがうまくなりたい、ゲームの達人になりたい、インラインブレードの達人になりたい、自転車乗りがもっとうまくなりたい、サーフィンの達人になりたい、つりをして・・
●疑問・追求
魚を調べる、ローラーブレードを調べる、毛について調べる、遊びたいと思うのはなぜか、なぜ小さい種から大きいきができるか

単元名を 「○○○のプロになろう」


 地域の特性を絞り込まずに、柔軟に子どもの興味・関心に沿って思いやひらめきを寄せ集めると、以上のような広範囲にわたる学習へのきっかけが表面化します。これだけでは、学習の方向性も内容も出てきませんから、先生の思いを絡めて取り組むことを投げかけることになります。
 総合的な学習の時間を年度初めにスタートさせる時、こうした手法を流れに組み込んでおくとマンネリ化を防ぐことができるのではないかと思います。興味関心にもとづいて広範囲に投げかけたり、地域の特性に絞り込んで投げかけたり、テーマを掲げて投げかけたりすることができますから、枠組みは先生が設定することになります。ただし、地域の特性やテーマで絞り込むと、必然的に先生の思いが強くなり、やってみたいという子どもの思いが一部に偏る可能性はあります。
 年度初めに安易にスタートしているようでしたら、原点に帰って総合的な学習の時間を毎年度新鮮な気分で組み立てるうえで参考になるのではないかと思い取り上げました。
 子どもたちの発想が先生にとっては唐突に感じられることでも、本人にとっては直接的に最も関心の強いことが出てきます。黒砂糖→サトウキビ→砂糖作り→お菓子作り・・・という組み立てのほうが順当に見えてくるのは先生にとって避けられない宿命ではないかとさえ私は思いこんでいます。すべてを連想ゲームで結びつけることは困難であっても、ほとんどの思いつきは取り込めます。ゲーム→遊び→今昔→高齢者→交流→昔遊び・・・とつながっていきます。ついつい先生が主導してしまうと、「ゲームや遊びは直接勉強に関係ありませんから、せっかく出していただきましたが、なしということでいいですか。」とたたみ込んでしまいます。
 オリエンテーションで子どもの興味関心がどこにあるかを知ることは、先に進めるための大切なきっかけになります。たとえ、○年生は福祉をすることになっているという枠組みがあったとしても、とっかかりと先の見通しをつなぐために取り組んでいただきたい部分です。