実践事例を見る(46)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 清和村立清和小学校
所在地 〒861-3846 熊本県上益城郡清和村大字仮屋384
URL http://www2.higo.ed.jp/es/seiwasyo/index2/index2.htm
電話 TEL0967-82-2012
学年 3,4,5,6年
テーマ
ふるさと学習
カテゴリー 国際理解、環境、文化産業、情報、福祉

 平成11・12年度の教育論文が目にとまり、閲覧しました。本格実施前の先行実践をまとめられたものです。平成15年2月以降更新が止まっていますから、現況は不明です。地域の特長を生かしたものとしては清和文楽の継承に関するものがありました。

 教育論文で注目したのは、今後の課題の中の一文でした。実践を積み重ねる先生が、試行錯誤しながらも意欲的になっていき、実践課題をつかんでいく流れは、総合的な学習を進めていく原点になると思うのです。そして、その過程の中で、先生自身の力量を高めて授業を魅力なものにすることや子どもたちにつけさせたい力を見据えていくことは、子どもたちの学びを保障するために土台となる大切なことだと私も思います。教科書のない総合的な学習の時間に子どもの学びを創造していくには、先生自身の興味、関心、意欲が問われることはこれまで繰り返して述べてきたことです。

 再度、原点に戻って整理すると、総合的な学習を展開するに当たって、子どもに備えておかなければならない力がいくつかあります。学力低下論で指摘されてきた基礎的、基本的な学習内容について先生方が自分の考えを持っているかどうかということです。読んだり、書いたり、話したりすることは異論はほとんどないでしょう。しかし、計算ができるということについては考えが定まっていないと感じます。
 私が一番気にしているのは計算を技能ととらえることです。計算ができるということは、抽象的な考え方が身に付いてきたととらえてほしいのです。計算ができるという判断は、計算の仕方が分かっているという前提があります。抽象化されたアルゴリズムが分かっていることを意味しています。
 文字を獲得することと考え方を獲得することはあらゆる学びを助けるものですから、おろそかにしてはいけないことだと確信しています。

 清和小のように移行期に研究実践に取り組んだ学校は、相当数にのぼると思います。ところが、本格実施されてからというもの、先生が入れ代わり、スタート時の成果の継承に努力をしなくなった学校も多いのではないかと心配します。地域の特性をふまえて取り組まれたところほど出発点を読み返せるよう、実践研究の資料が残っていると、今後の取り組みに有効に働きます。要は、実践研究の資料が学校独自の総合的な学習の指導解説書になるわけです。