実践事例を見る(38)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 海田町立海田小学校
所在地 〒736-0064広島県安芸郡海田町昭和中町2−55
URL http://www.hrs-kaita-e.ed.jp/
電話 電話:082-822-2714Fax:082-822-1795
学年 3,4,5,6年
テーマ
自ら学ぶ子どもの育成
カテゴリー 地域、環境、平和、国際理解

 広島にとって平和学習は身近な問題であるだけに、かなりの学校で取り組まれていました。ここで取り上げた海田小は平成14年度に実践された6年生の単元構想です。構想の中に実践したときの記録写真が貼り付けられています。
 他校の実践と違うところは、テレビ会議システムを使って岐阜県の小学校と交流学習を仕組んでいたことです。被爆地、広島について調べ、学び取ったことを他県の平和学習をしている小学生に教えるというものです。さらに、現実の世界中に目を向けて様々な社会問題を学び、校内での平和シンポジウムを通して学び合うという流れを作っています。他県との交流学習がこの段階まで継続するならば、学びが深まると期待できます。しかし、事前に交流の中身を調整しなければならず、相互に先生方が打ち合わせる苦労がつきまとうため、実現はなかなか困難だと察します。構想の締めくくりは、平和のために活動している人々について学び、自分の実践課題に結びつけようとするものです。
 もう一つ、3年生で紹介されている単元構想と実践過程での記録写真は平成14,16年度のものでした。地元の祭りをテーマに取材し、世界の祭りに広げることによって、異文化を学ぶきっかけを作っています。

 広島県内の事例を閲覧していて、いくつかの小学校でシラバスの提示が見られました。単元構想、年間指導計画より詳細な項目立ての計画書です。
 教科との関連を図っていくことを中心に考えている総合的な学習では、教育活動の全体像がつかみやすいという利点はあります。教科を横断するような場合は、他の領域で仕組んだ全体像との重なりを表しにくいという欠点も出てきます。つまり、平面的な教育活動でとらえられやすい現実に反して、網の目構造の3次元表記は実践現場で理解が進んでいません。総合的な学習をシラバスの考えに沿って計画していくとなると、そのための労力と時間はふくれあがりそうです。
 逆に、単元構想や年間指導計画を用意していくことは、担任である先生が1年間を見通して構想を描けばできあがりますから、多くの労力と時間を費やすことはないでしょう。問題があるとすれば、次の年、その次の年と手入れがされていくかどうかだけです。生活科の時でもしばしばささやかれたのが、年間指導計画の手入れでした。担任が代わり、子どもたちが代わり、学習経験の積み重ねが進む中で、年間指導計画は手入れされなければ、単発的なその場限りの実践で終わってしまう危険性が潜んでいます。
 教科の学習については指導要領が学習内容を示しています。子どもたちが何を学習してきたかは、情報が共有化されています。学習内容にどの程度到達したかは、指導要録によって情報が共有化されています。ところが、総合的な学習では、引き継がれるものが何もないと共有する情報もありません。
 校内のネットワーク上に年間指導計画やワークシート、評価のための資料が残されているならば、実践のための情報の共有化はかなり進んでいると言えます。WEB上に公開したから情報の共有化ができたということにはなりません。

 今年卒業した子どもたちが4年間、総合的な学習で何をどのように学んだか、あなたの学校ではすぐに閲覧することができますか?